伝馬町鍼灸院健康通信 改善しない胃の不快感

伝馬町鍼灸院健康通信
改善しない胃の不快感

改善しない胃の不快感

「ねぇねぇ、うちのお父さん、最近胃が痛いのが続いているので胃潰瘍かと思い、お医者さんに行って検査してもらったんだけれど、特に異常がないって言われたんだって。」

医療機関で詳しい検査をしてもらったにもかかわらず、特に異常が見つからない人って結構いるんだよ。検査で異常が見つからないのに、胃の不快感が続く状態を機能性ディスプシアというんだよ。

 

「機能性ディスペプシア?」

日本語では機能性胃腸症というんだよ。機能性ディスペプシアは、一般検査では胃の粘膜にただれなどの組織の変化が認められないのに胃の痛み、お腹が張った感じ(腹部膨満感)、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃のもたれ、胸やけなどを示す症状で、最近の一年間で合計12週間以上続くものをいうよ。

「ふ~ん、そうなんだ。」
機能性ディスペプシアは、胃が次の3つのような状態になり、症状が現れるよ。 1. 胃の上部が広がらない 健康な人の場合、口から入った食べ物が食道から胃に入ると、それを受け入れるために胃の上部が広がるんだけれど、機能性ディスペプシアの人は胃の上部が広がらず、少し食べただけでも、お腹いっぱいになったと感じる腹部膨満感が起こる。

2. 胃の波打つような動きである蠕動(ぜんどう)運動が弱くなる。 健康な人は、食べ物と胃液を十分に混ぜ合わせ、食べ物を粥上にして胃の下部から十二指腸へ送り出すことができるけど、機能性ディスペプシアの人は胃の蠕動運動が弱く、食べ物がうまく十二指腸へ送ることができず、胃の中に長時間食べ物が残ってしまい、食後の胃のもたれが起こる。

3. 胃酸に対して過敏になる 健康な人は、胃に食べ物が食道から入ったことで胃液が分泌され、蠕動運動によって食べ物と胃液を混ぜ合わせる。機能性ディスペプシアの場合、胃や十二指腸が、胃液に含まれる胃酸に対して過敏になり、みぞおちあたりに痛みが出たり、焼けるような感じがする。これらは単独ではなく、複合的現れるのが特徴だよ。

「何が原因なの?」
はっきりわかっていないのが現状だよ。ただ、胃の働きは自律神経が関わっているので、ストレスによって自律神経のバランスが乱れるとことで胃の働きに悪い影響をおよぼすのではないか、と考えられているよ。
「お医者さんではどんな検査をするの?」

医療機関は、消化器の専門医に受診すること。まずは、問診のほか、胃潰瘍や癌などがないか『内視鏡検査』が行われるよ。それに血液検査、胸腹部レントゲン、超音波、胃排出能(胃の運動機能など)、
便潜血検査など症状によって選ばれるよ。症状によっては心理テストが加わる時もあるよ。

「どんな治療をするの?」

胃潰瘍や癌などの組織的な問題がなければ、まずは医師から自分の胃の状態の説明を十分聞き、きちんと理解する。納得したり安心することで、3割ぐらいの人が症状が治まることあるよ。それから薬物療法。早期膨満感、食後の胃のもたれには、胃の動きを良くする薬、みぞおちの痛み、焼けるような感じには、胃酸の分泌を抑える薬、強いストレスを感じている場合は、抗不安薬が使われるよ。あとは、日常生活の改善も大切だね。

 

「日常生活の改善ってどんなことをすればいいの?」

それは、以下のことだよ。

1. 食生活の改善 毎日朝食を食べる、規則的に食事を摂る。食事を抜くと胃腸の運動に変化が起こり、胃酸の刺激を受けやすくなる。良く噛み、ゆっくりと食べる。いっぺんに食べ過ぎない。早食いやドカ食いは、胃での滞留時間の延長により胃に負担をかけ、胃酸の過剰分泌や肥満の原因になる。食事の内容に気をつける。脂肪分の多いもの、かたいものはそれだけ消化に手間取り、胃に負担をかける。同じ食材でも調理方法によって消化が異なるので、油を使う揚げ物や、濃い味付け、強い香辛料などの使用を避け、焼いたり、煮たりして消化のよい状態で食べる工夫も必要。

2. ストレスの発散に心掛ける 十分な睡眠をとる。十分な睡眠をとることで自律神経の乱れの改善が期待できる。睡眠不足が続くと夜間の胃の分泌が促され、胃の粘膜に悪影響を与える。また、睡眠不足事態がストレスの原因になる。運動を定期的に行う。運動は血行を促進し、消化器の機能を活発にさせる。ウォーキングなどの有酸素運動は自律神経の働きを良くする。
3. 禁煙する 喫煙は、胃の血流を悪化させ、働きにも悪影響を与える。喫煙者は、禁煙することで胃の負担を減らすことができる。
「うちのお父さんもまずは生活習慣の改善からスタートだね。」
今回はこれでおしまい。

伝馬町鍼灸院