当院では、あらゆる体調不良の根本的な原因として「冷え」を非常に重視しています。
当院が考える「冷え」とは、単に「身体が冷たい」という感覚だけではありません。私たちの身体に本来備わっている「生命力」が低下し、熱を作る力(産熱力)、熱を巡らせる力(巡熱力)、熱を外に逃がす力(放熱力)のバランスが崩れてしまった状態を指します。
これまでブログでは、生命力について「東洋思想的」「東洋医学的」「西洋医学的」なそれぞれの観点から説明してきました。
今回は、一歩踏み込んで「生命力と熱、そして体温調節の関係」について、西洋医学の視点からお話しします。
生命活動と「熱」の切っても切れない関係
私たちは、空気中の酸素と日々の飲食物から栄養素を取り入れ、命を終えるその瞬間まで生命活動を続けています。
人が「死」を迎えると身体が冷たくなることからも分かるように、生命活動と「熱」は切っても切り離せない関係にあります。つまり、高い生命力を維持することは、「適切な平熱を維持すること」そのものなのです。
人間をはじめとする恒温動物は、常に体内で熱を作り出し、その熱を全身に巡らせ、余分な熱を外に放つことで、体温を健全に保つ素晴らしい仕組みを持っています。
・熱の産生力(作る力)
・熱の巡る力(運ぶ力)
・熱の放散力(逃がす力)
この3つのバランスが整っている状態こそが「生命力が強い状態」です。逆に、このバランスが崩れると体温を一定に保つ仕組みが低下し、いわゆる「冷え」の状態になって体調不良へと向かってしまいます。
それでは、この3つの仕組みについて、西洋医学の観点から具体的に見ていきましょう。
1.熱産生(産熱):身体で熱を作り出すしくみ
体内で熱を作り出すアプローチには、主に「筋肉」「代謝」「内分泌(ホルモン)」の3つがあります。
① 筋肉によるもの
寒さで身体がブルブル震えることで熱を生む「ふるえ熱産生」、震えを伴わない「非ふるえ熱産生」、そして身体を動かす「運動による熱産生」があります。
② 代謝によるもの
じっとしていても消費される「基礎代謝」、食事をした後に身体がポカポカしてくる「食事誘発性熱産生」、 日常の「身体活動」によって熱が作られます。
③ 内分泌(ホルモン)によるもの
以下のホルモンが分泌されることで、体内の熱産生が促されます。
甲状腺ホルモン(サイロキシン): 全身の細胞に働きかけて代謝を促します。
アドレナリン(副腎髄質ホルモン): 寒い時に、震えなどを介して産熱を促します。
糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン): エネルギー代謝を活発にします。
2.熱の巡り(巡熱):身体で熱を巡らせるしくみ
当院では、作られた熱を全身へ行き渡らせる仕組みを「巡熱(じゅんねつ)」と呼んでいます。これは主に「血液の循環」と「自律神経」のコントロールによって成り立っています。
① 血液の循環によるもの
温まった血液が血管を流れ、全身をくまなく巡ることで、熱が身体のすみずみまで均等に運搬されます。
② 自律神経の働き
脳にある体温調節中枢からの指令を受け、自律神経(交感神経)が働きます。交感神経が興奮すると血管が収縮し、抑制されると血管が拡張します。この絶妙なコントロールによって、血液(熱)を全身に巡らせています。
3.放熱(熱放散):身体から熱を逃がすしくみ
体温が上がりすぎないよう、皮膚の血流や発汗を利用して、身体の外へ熱を放出する仕組みです。
① 皮膚の血管を広げて熱を逃がす
皮膚の血管を拡張させて血流量を増やすことで、外気へ熱を逃がします。これには3つの伝わり方があります。
放射(輻射): 体表から赤外線として熱を放出する。
伝導: 触れている物へ直接熱が移動して放熱する。
対流: 身体に触れている風や水が移動することで放熱する。
② 汗をかいて熱を逃がす(蒸発)
皮膚の表面にかいた汗が蒸発するときに、身体から熱を奪います(気化熱)。
③ その他の放熱・調節
不感蒸発(ふかんじょうはつ): 汗をかいている自覚がなくても、皮膚や呼吸から自然と水分が失われる際に放熱します。
立毛筋(りつもうきん)の弛緩: 皮膚の毛穴にある筋肉を緩めることで、皮膚の表面を広げて放熱を促します。
行動性体温調節: 暑い時に服を脱いだり、寒い時に服を着込んだり、環境に合わせて自ら行動することで放熱や保温をコントロールします。
まとめ:適切な平熱を維持して、強い生命力を
いかがでしたでしょうか。
私たちの身体は、このように「熱を作り」「巡らせ」「上手に逃がす」という複雑なチームワーク(体温調節)を24時間絶え間なく行うことで、適切な平熱を保ち、生命力を維持しています。
このどこか一つの歯車が狂うだけでも、身体は「冷え」に傾き、不調のサインを出し始めます。
「最近、体調がすっきりしないな」「冷えが抜けないな」と感じる方は、この熱のバランスが乱れているサインかもしれません。当院では、東洋医学と西洋医学の両面からあなたの身体を見つめ、本来の「生命力」を取り戻すお手伝いをしております。気になる症状があれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。





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伝馬町鍼灸院でございます。