来院
2020年 3月
症状
大学生の頃から左耳鳴りがし始め、病院に行ったがうまく付き合うしかないといわれた。その後何度が良い時と悪い時を繰り返してきた。2週間前からキーン、ジィージィーと音が聞こえ気になって仕方がなくなった。お風呂で体を温めると少し良くなるがすぐに戻ってしまう。思い当たる原因は、イヤホンで音楽を聴いていることと最近疲れを感じる。聴力には問題ない。
施術内容
仰向けでおへそとみそ落ちの真ん中あたりのツボ(中脘)にお灸を施術後、圧痛のある右足三里にお灸を施術した後、腹部の圧痛、張りの部位を確認したことろおへそから左1cm、上3cmあたりの所に圧痛が診られ、脾積とした。
伏臥位で腹部の圧痛の部分に関連した部位のいくつかを金の刺さない鍼で、1番の圧痛点を探し、印をつけ、圧痛のある側の天宗にお灸を据えた。再度、金の刺さない鍼で、1番圧痛のある所を選び、そこへお灸を据えた。
再度仰臥位になり、腹部の圧痛の変化を確認し、足のツボにお灸を行った。その後、両側の頚部の圧痛のあるところに3~5壮お灸施術を行った。左右の手三里の圧痛がある側にお灸をして、再度腹部の圧痛の変化を確認し、腹部の一番不快なツボへお灸を7回行った。
わき腹、腹部、頭部、両手、両足の体温を測定して、施術前後の体温の変化を確認した後で、座位になり、肩にお灸を3回行って施術を終了した。
1回目の施術前と施術後の体温(℃)
脇 | 腹部 | 頭部 | 左手 | 右手 | 左足 | 右足 | |
施術前 | 36.5 | 36.2 | 36.9 | 36.1 | 36.0 | 34℃未満 | 34℃未満 |
施術後 | 36.6 | 36.8 | 37.2 | 36.3 | 36.3 | 34.5 | 34.5 |
使用経穴
中脘、R足三里、R天宗、R下膈関、B側頚部の圧痛点、L外関、R臨泣、R手三里、L関門
2診目'(初診より3日目):収まったり、何もしていない時に聞こえる
4診目(初診より14日目):気にならない時間が増えた
6診目(初診より33日目):耳鳴りが鳴っていない感じがある時があった
8診目(初診より70日目):気になることも少なくなり、耳鳴りに気づいていない時が多くなってきた。
11診目(初診より155日目):気圧に影響されることもあるが、耳鳴りを忘れている時が多くなった
11診目の施術前後の体温(℃)
脇 | 腹部 | 頭部 | 左手 | 右手 | 左足 | 右足 | |
施術前 | 36.2 | 36.2 | 36.9 | 36.3 | 36.3 | 36.0 | 36.0 |
施術後 | 36.6 | 37.3 | 37.2 | 36.5 | 36.5 | 36.1 | 36.1 |
考察
初診の際に際体温を測定すると、足がかなり冷えていた。頭部に熱がこもり、のぼせている状態で自律神経の中枢である視床下部や内耳にも悪影響を及ぼし耳鳴りが発生したと思われる。足の指、裏に汗をかきやすく、汗が乾くときに熱を奪われる、いわゆる汗冷えも助長しているようだった。
下半身に熱が巡るようにお灸施術をすることで耳鳴りも気にならない程度に落ち着いてきた。耳鳴りは、内耳の問題ではあるが、東洋医学的に観ると足の冷えが原因であることが多い。内臓の働きを良くすることで熱が創られやすくなり、下半身へも血液が巡りやすくなり、上半身、下半身の熱のバランスが大切となる。
お電話ありがとうございます、
伝馬町鍼灸院でございます。