2024.5.19 お灸教室 お灸の基礎

お灸教室に参加されたお客様

5月19日、当院にてお灸教室を開催しました。今回は、おひとり様のご参加でした。楽しいお時間を共有させていただき感謝申し上げます。

お灸は、東洋医学の1つの分野で、ツボに適度な温熱刺激を与え健康の回復、維持、増進する医術でもあり養生術でもあります。

最近は、東洋医学も科学的に研究が進んできました。先日のNHKスペシャル 東洋医学を科学する~鍼灸・漢方薬の新たな世界~での番組でも鍼灸の科学的メカニズムついて放映されました。

その中で「足三里(あしさんり)」への鍼灸のメカニズムについて紹介されていました。

それによりますと、足三里への鍼灸の刺激が脳に到達した後、自律神経の副交感神経の迷走神経に作用して、その刺激が副腎皮質からドーパミンを放出する指令を出すそうです。

ドーパミンは、脳では意欲や幸福感などに関係していますが、免疫系にも関与していて、ドーパミンが暴走した免疫細胞と結合すると炎症反応が抑えられるとのことでした。

そして、お灸は過剰な免疫反応を抑制する働きがあると結論付けていました。

私たちはストレスに長くさらされると全身のあちこちに軽い炎症が起こります。この炎症が長く続く続くことで、身体に病気が現れやすくなります。足三里への鍼灸は、病気の治療だけではなく、病気にならないように予防する働きもあります。

足三里へのお灸は、免疫だけではなく、自律神経や内分泌(ホルモン)などにも影響を与え、体質の改善、病気の予防や長寿など十分な効果を発揮します。

当院では、皆さんがご自宅でお灸を据えられるように、毎月第3日曜日の午前10時から12時半まで当院にて、お灸教室を開催しております。参加費は6,050円税込です。6月は16日、7月は21日、いずれも3人募集しています。

参加ご希望の方は、お電話 (0532)63-6093、LINEで「〇月のお灸教室参加希望」とメッセージを

送ってください。定員になりしだい締め切ります。

写真は左右にスライドできます

もぐさ作り体験

お灸では、もぐさに火をつけて行います。もぐさの原料はヨモギです。ヨモギの葉っぱの裏についている白い綿毛がもぐさになります。家庭で作る場合、天日干ししたもぐさの葉っぱを、ホットプレートやフライパンでさらに乾燥させます。すり鉢、すりこ木、ざる、ボールを用意します。すり鉢とすりこ木で乾燥したヨモギの葉っぱを粉々にしてざるに移し替え、夾雑物を捨て、すり鉢に戻し、再度すりつぶすことを繰り返すともぐさができます。

出来上がったもぐさを使って焙烙(ほうろく)灸

焙烙は、素焼きでできたお皿でお盆に迎え火や送り火で使ったりします。
出来上がったもぐさを手の親指ぐらいの円錐状の大きさに作ります。それを焙烙の凹んでいるいる方を頭側にして、円錐状にしたもぐさをお皿の中央に載せ、点火します。

燃焼したもぐさの熱が焙烙に伝わり頭の頂にある百会(百会)というツボをじんわり刺激します。

焙烙灸は、夏の土用などに暑気払いとしてお寺などで開催されます。

皮膚ともぐさの間に物を介在させて行う灸を隔物灸といいます。焙烙灸の他、ショウガやみそ、ニンニク、塩、枇杷の葉などが使われます。

足三里(あしさんり)へのお灸

足三里は、膝のお皿の外側下にある窪みから外くるぶしに向かって指4本分の所にあります。自律神経の調整、健脚、ホルモンのバランスを整える、免疫を上げる、胃腸を良くする、足のだるさの解消、愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌を促す、頭部に上がった熱(いわゆるのぼせの状態)を下半身に下ろすなどの働きがあり、万能のツボとして知られています。

太衝(たいしょう)へのお灸

太衝は、足の親指と人差し指の間を足首に向かってなぞると盛り上がった骨があります。その手前の窪みに取ります。このツボは、イライラや怒りなどの感情を落ち着かせる働きがあります。生殖器関係、生理関係のトラブルにも効果があります。目の疲れやめまい、喉の違和感、頭痛にも使われます。もちろん冷え症にも効果があります。

太白(たいはく)のツボへのお灸

太白は、足の親指の内側を内くるぶしの方に向かってなぞり、大きな骨の後ろ側にある窪みにあります。主に消化器全般に効くツボです。下痢や便秘、腹痛、胃の膨満感、食欲不振、腸の過敏などまた倦怠感などにも使います。

湧泉(ゆうせん)へのお灸

湧泉は足の裏、足の指を足裏に曲げ、一番凹んだ所に取ります。足の裏は、皮膚が厚いので多少熱めのお灸を用いても大丈夫です。主に、冷え症、頭痛、目、鼻、首、肩コリなどを緩和します。頭に上がった熱を足に下ろす働きがあります。冷え症、更年期の方には、お勧めのツボです。

湧泉にお灸後の片足立ち

湧泉にお灸を据える前に軸足でない方の足を決めます。そして軸足でない方の湧泉にお灸を据えた直後に再度その足で片足立ちをしてもらいます。すると、お灸をする前よりも安定感が増すことが経験することができます(個人差はあります)。一つのお灸で何らかの効果がすぐ体験できます。

器具を使用した棒灸

もぐさを棒状にした棒灸は、器具を使うことにより皮膚を点ではなく、面的に温めることができます。ツボを気にせず、痛みやコリのある所に置いて温めることで、ここちよい感覚が得られます。取っ手を長くすることで背中など手の届かないところまで温めることができます。

器具を使わない棒灸の使い方

器具を使わない棒灸の使い方もあります。温熱を調節できる特性があります。棒灸の熱量が大きいので、足が冷えている時に足の指先や湧泉などを使うと冷えが改善されます。また、手や足にできる赤切れや傷などにその上から温めると痛みが楽になったり、傷口が早く良くなります。

ヨモギの乾燥

採取したヨモギの葉っぱを自宅で乾燥させる場合は、野菜を天日干しするネットを使用すると便利です。7~10日乾燥させます。

参加された方のアンケート

豊橋市 A.K様 女性 60 歳 主婦

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伝馬町鍼灸院