無痕灸

無痕灸

無痕灸は、お灸の痕を残さないように、強い刺激を和らげる目的で行う灸で、お灸の痕が残らず、柔らかい温熱感が体に伝わります。それには、以下のものがあります。もぐさを皮膚に直接載せて行う、皮膚ともぐさの間に物を挟む、皮膚ともぐさの間に空間を作るやり方があります。

 

a. 隔物灸:隔物灸は、皮膚ともぐさとの間に物を挟んで行う方法です。これには、台座灸、ビワの葉灸、くるみ灸、押灸、みそ灸、にんにく灸、ショウガ灸、竹筒灸、焙烙灸、塩灸などがあります。

 

b. 温灸:温灸は、もぐさを皮膚に直接のせまずが火傷をつくらないように素早く燃えているもぐさを取り除く方法や、

皮膚ともぐさとの間に空間を作る方法です。これには、知熱灸、灸頭鍼、棒灸、箱灸、円筒灸などがあります。

 

c. その他:もぐさを全く使用せず、薬物を皮膚に直接塗り、薬物の刺激を皮膚に与える方法です。これには、水灸、うるし灸、紅久、油灸、硫黄灸、墨灸などがあります。

 

これらのうち、いくつかをご紹介します。

知熱灸

知熱灸

知熱灸は、米粒ぐらいの大きさから、手の親指ぐらいの大きさのもぐさを皮膚の上に直接のせ、温感・熱感を感じたら速やかに取り除く温灸法です。

 

熱さを感じて、燃えているもぐさを取り除く絶妙なタイミングが受け手の快感度に影響を与えます。

台座灸

台座灸

台座灸は、もぐさの下に台座が取り付けてあり、底部がシールになっており、点火してツボの上に貼りつけて、ピリピリ感を感じたら取り除く隔物灸で、現在最もポピュラーなお灸法です。

 

薬局やネットで手軽に手に入れることができて、ご自身でお灸をすえることができます。

円筒灸

円筒灸

円筒灸は、円筒にもぐさが入っていて、それを少し押し出して、点火し皮膚の上にのせて行う温灸です。

 

これも手軽に自分でできます。ネット販売で購入できます。

灸頭鍼

灸頭鍼

灸頭鍼は、刺入した鍼の頭に手の親指大のもぐさをのせ、点火して、もぐさが燃えきるまで燃やす温灸法で、もぐさの輻射熱を利用した方法です。「温灸鍼」「頭鍼灸」とも呼ばれています。

 

冷え症、肩痛、腰痛などに使われます。

棒灸

棒灸は、棒状に包んだもぐさの先に点火して、片手で鉛筆を持つように棒状のモグサを持ち、皮膚の上から身体を温める方法で、皮膚への距離を縮めたり離したり、皮膚の上で円を描いたりして温める温灸法です。棒もぐさを、ホルダーに取り付けて行う方法もあります。

 

また、布や紙を折り重ねて皮膚の上に置き、棒もぐさの燃焼部で押圧する方法は「押灸」と呼ばれ、最近では、金属容器にもぐさを入れて押し当てる方法があります。

 

またビワの葉を置いて行うビワの葉灸もあります。

  • 棒灸
  • 取っ手のついた棒灸

ショウガ灸

ショウガ灸

ショウガ灸は、皮膚の上に直接1mm程度にスライスしたショウガをのせ、その上にもぐさをのせて温める隔物灸です。ショウガの薬理作用とお灸の温熱刺激が相乗的に働き血行を促します。

焙烙(ほうろく)灸

焙烙灸

焙烙とは、素焼きの平たい土鍋で、お盆の時にそれを使って迎え火、送り火をすることがあります。その俸禄に上にもぐさをのせ、点火して頭の上に焙烙を置き、頭に心地よい熱感が浸透する隔物灸です。

 

よく夏の土用の丑の日に、お寺さんなどで年中行事として行われています。

 

夏バテ防止、暑気払いなどの目的行われます。

竹の輪灸

竹の輪灸は、5cmぐらいの竹筒にもぐさを詰め込み、点火して、竹が温まったころを見計らって、皮膚の上を直接ころころと転がして隔物灸です。

 

艾の温感と竹筒の心地よい押圧感が楽しめます。

  • 竹の輪灸1
  • 竹の輪灸2

伝馬町鍼灸院