当院のお灸施術について 1. お灸施術とは?

1. お灸施術とは?

手三里にお灸

お灸施術とは、術者がお客様の皮膚を術者の指で直接触れ、火をつけた「もぐさ(ヨモギの葉から作られます)」を皮膚に直接置く、もしくは物や空間を介在して生体に温熱刺激を与えることで、生体の反応を利用して健康の回復、維持、増進する中国伝来の療法です。

 

当院のお灸施術は、私が1993年(平成5年)にはり師、きゅう師、あん摩・指圧・マッサージ師の国家資格を取得して以来、体験と知識に基づいて築き上げた全くのオリジナルの療法です。

 

日本の鍼灸の歴史を振り返ってみても、6世紀に中国から鍼灸が伝来後、多くの先人たちはその時代に合わせて独自の療法を創意、工夫をしながら考案してきました。現在の鍼灸業界は西洋的なものから東洋的なものが混在してたくさんの流派があり、それぞれが研鑽を積んでいます。

 

鍼灸業界の流派は鍼施術が主体のものが多く、お灸が主体の流派はほとんどありません。私がお灸施術にこだわっているのも、そうした現状から少しでも伝統のあるお灸施術の可能性広げ、社会に広めたい思いの1つの現れでもあります。

 

鍼灸は元々東洋医学ですが、業界も西洋医学的な「科学的根拠」に基づく研究が進んでいます。私のお灸施術はあくまでも東洋思想・哲学的な観方に基づくもので「直観的」でもあります。

 

鍼や灸(もぐさ)は「物」であり、西洋医学も東洋医学もありません。鍼灸師が科学的根拠に基づく鍼灸施術ならそれは西洋医学であり、東洋思想に基づく鍼灸施術であれば、それは東洋医学といえるのではないでしょうか。

2. 東洋思想とは

では、東洋思想とはどのようなものなのか、説明します。東洋思想の原点は古代中国の思想に置き換えられます。

その大元なるのが「易経」です。「易」というと「占い」を連想する方が多いでしょう。「易経」は、東洋の漢字文化圏の思想の根底をなす格式高い書物でもあります。

 

易経は、私たちの住んでいる宇宙は、見える世界が見えない世界の力で成り立っていることを原理としています。五感で感じ取れない「精気」という宇宙の力を前提として、それが物を生むという理論で世界観を生み出しました。

 

東洋思想は、この見える世界と見えない世界の両方を観るのが根幹です。

3. 易経について

鍼灸治療のための易経入門

(1) 易経の特徴

易経は今から3千年以上の前、中国の殷という国から始まり、様々な体験を経て今日至っています。

易経の特徴は、以下の4つがあげられます

変易宇宙の森羅万象は止まることなく変化し続ける

不易変化し続ける中を変わらぬ一定の法則が貫いている

易簡宇宙の森羅万象は結局陰陽の二文字に集約される

中庸を重んじる中庸とは、偏りがなく過不足のない調和のとれた状態を重要視する

 

これを私たちの身体に当てはめてみると

私たちの細胞は常に新陳代謝により変化し続けている

恒常性維持(ホメオスタシス)働いて健康状態が保たれている

自律神経の交感神経(陽)、副交感神経(陰)の2つの神経の調和で成り立っている

身体は交感神経と副交感神経系のどちらでも優位なものではなく、状況に応じて常に発揮できる状態が健康である

となります。

(2) 物体(身体)は気でできている

易経の「繋辞伝(上)」に「精氣爲物、遊魂爲變」という言葉が出てきます。

 

これは「混じり気のない純粋の元気(氣)は凝集して形を作り、いずれその元気(魂)は衰えて浮遊し、形を離れて、形は変わる」というも意味です。

 

これは「日常的に目に見える物は、すべて目に見えない元気(気)によって作られている」

という意味です。

 

私たち人間に当てはめると「目にみえない生命(精気)が私たちの身体を作り、死ぬと形はなくなる」ということになります。

(3) 太極(たいきょく)について

太極

易経の「繫辞伝(上)第4章」に「是故易有太極(この故に易に太極あり)。是生両儀(これ両儀を生ず)。両儀生四象、四象生八卦(両儀は四象を生み、四象は八卦を生ず)

という文章があります。

最初の「太極」ですが、「これは見える世界が見えない世界の力で成り立たせている大元」という意味です。

易経では、これを1本の棒(陽の爻)で表現します。この背後には目には見えない陰が働いています。

太極は両儀、つまり陰と陽に分かれる以前の姿で世界万物の生じる根元、宇宙の本体、天地のまだ分かれていない以前、万物の存在の始まる瞬間、存在する物の動き始める時、すべての事物や事象の始まり、精気、生命という意味です。

(4) 陰と陽について

太極から陰陽が生じる

是生両儀」の両儀が陰と陽のことで、それらは太極(万物の根源)から生じた二極。太極が2つのものに分離したものではありません。

現象と呼ばれる物事には必ず両面、両性がありこれを「陰」と「陽」といいます。

私たちの見える世界はこの陰と陽の両面からできているということでもあります。たとえば、天地、腹背、男女、上下、左右、前後、明暗など同じ性質である物の全く正反対として同時に存在するもののことを言います。

(5)四象と八卦について

易経八卦

易経で「両儀生四象 両儀生四象、四象生八卦」とありますが、陰と陽がさらに陰と陽に分かれ八卦となり、この八卦を重ねることで森羅万象が成り立つことを意味します。

 

つまり、森羅万象は陰と陽の調和で存在しているということになります。

4. 易経と現代物理学

宇宙

ダークエネルギー

易経は現代物理学にも共通しています。

 

現代物理学は「宇宙は何でできているか?」「宇宙の法則とは?」「物質の本質は何か?」などを研究する学問です。

 

現在のところ宇宙で一番小さい物質は素粒子と呼ばれています。しかしながらこれはまだ物質の最小物ではない可能性があります。

 

私たちが認識している宇宙は、138億年前に誕生しました。そして、現在でも加速膨張しているといわれています。この加速膨張させているエネルギーはまだ解明されていませんが、宇宙を加速膨張させるダークエネルギー(暗黒エネルギー)というものが存在しているといわれています。

 

このダークエネルギーこそが物質を作る大元ではないかといわれています。このダークエネルギーが易経で言われる太極になるでしょう。

宇宙を構成する要素は、恒星や惑星など目に見える普通の物質が4.9%、観測はできていませんが、理論上存在すると推定されるダークマター(暗黒物質)が26.8%、そしてダークエネルギーが68.3%と言われいます。宇宙はまだ95%は解明できていません。

宇宙はまだまだ謎だらけです。

伝馬町鍼灸院