冷え症の対策 体の熱を産生する観点から

「いつも手足が冷えて気になって仕方がない…。」そんなあなたへ

こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院 院長の川添です。

 

当院では、「冷え」を自律神経失調症の根本的な原因として捉え、鍼灸でツボを刺激して体を温め、「冷え」を対処して自律神経を整える鍼灸施術を行っています。

 

来院されるお客様のうち、冷え感を訴える方がいます。

 

冷え症(冷え性)は、「冷えた感覚」を持たない程度の気温で、本人また他人が触れても「冷えた感覚」がある、なしに関わらず、本人の体の一部または全体が「冷えた感覚」に襲われ、日常生活を送るのにつらい症状のことをいいます。

 

冷え症(冷え性は)、西洋医学では、そもそも「冷え」という概念がありませんので治療の対象にならず、自律神経失調症により起こる一つのお客様の訴えとして捉え、ほとんど相手にされません。

 

東洋医学では、「冷えは万病の元」と言われるように「冷え」に対する概念があり、施術の対象として積極的に身体に働きかけます。

 

このページでは、冷え症に対して様々な対策のうち、「体の熱を産生する」観点から詳しくお伝えします。

1.代謝について

冷え症の対策で体の熱を産生することは基本です。熱の産生には、代謝を上げることが大切です。

 

代謝には、物質代謝とエネルギー代謝があり、エネルギー代謝には基礎代謝、活動代謝、食事熱誘導性熱代謝があります。

 

基礎代謝:目覚めた状態で14時間から18時間食事もせず、呼吸・循環・体温、蠕動運動、筋肉の緊張など、生体に必要な代謝のことです。

 

活動代謝:体を動かすことによってエネルギーを消費することです。

 

食事誘導性熱代謝:食物を摂取し、噛む、腸で消化吸収など生体の働きによってエネルギーが消費されることです。

 

この3つのエネルギー代謝を高めることによって熱を産出することができます。

 

2.生活リズムを正す

同じ時間に起きる女性

私たちの体は、昼間に活動し、夜は休むという一日リズム(サーカディアンリズム)が備わっています。それを無視することは、体内での熱を作り出すリズムが狂い、基礎代謝が低下して熱を作り出す効率が落ちます。

 

サーカディアンリズムは、私たちの血圧や、ホルモン分泌、自律神経、体温調節を整えてくれます。

 

まずは寝る時間、起きる時間をなるべく一定にして規則正しい生活リズムを作りましょう。

 

生活リズムについて詳しい内容はコチラをご覧ください

3.睡眠をしっかりとる

眠る女性

睡眠の効果には、私たちの脳や体の疲労を回復する、ストレスを解消する、成長ホルモンの分泌を良くするなどが挙げられます。

 

成長ホルモンは成長を促すだけではなく、代謝を促進し、体の組織の修復や再生などを促します。

 

睡眠不足は、疲労を蓄積させ、ストレスを増大させ、基礎代謝が低下することで熱の産生が妨げられますので、しっかり睡眠はとりましょう。

4.ストレスを対処する

ストレスには、温度、気圧、騒音、空気汚染などの外的ストレスと病気、怪我、家族の不幸、解雇、近所のトラブルなど内的ストレスがあります。

 

ストレスは、私たちの自律神経に影響を与え、体の緊張させる、弛緩させる働きを乱し基礎代謝を低下させ熱の産出を低下させ、熱の巡りを妨げます。

①腹式呼吸

腹式呼吸

ストレスを軽減する1つの方法は、腹式呼吸法です。腹式呼吸は、胸腔と腹腔の境にある横隔膜という筋肉を意図的に緊張、弛緩させることで自律神経に働きかける呼吸法です。

 

呼吸は通常、意識しなくても自律神経の作用でコントロールしていますが、同時に意図的にコントロールできます。このように自律神経の作用でコントロールされている器官に意図的働きかけることのできるのは呼吸だけです。

 

腹式呼吸法は、肺に十分な酸素を供給し、腹腔にある内臓に圧力が加わり内臓の働きを活性化することで基礎代謝を高め熱の産生を促します。

 

腹式呼吸の詳しいやり方は以下のページをご覧ください。

腹式呼吸法について

②自律訓練法

自律訓練法は、ドイツの精神科医J・H・シュルツが考案したもので、自己暗示をかけて筋肉の緊張をやわらげ、神経や脳の働きを整える方法です。

 

「重たい」感じは筋肉の弛緩、「温かい」感じは、身体全体及び心の弛緩として考えられています。自己暗示による弛緩により、各細胞の働きが活発になり、熱の産生を促し、熱の巡りを改善します。

 

自律訓練法について詳しい説明は以下のページをご参考にしてください。
自律訓練法について

③筋弛緩法

筋弛緩法は、アメリカのジェイコブソンが提案したもので、自律神経のバランスを整える療法です。

 

意識的に体のどこかの筋肉を緊張さることで、気持ちも緊張状態を作り出します。その状態から一気に脱力・弛緩させることで、身体も心も緊張感から解放されます。

 

筋肉の緊張と弛緩により、熱の産出を促し、熱の巡りを改善します。

 

筋弛緩法の詳しい説明は以下のページをご参考にしてください。

筋弛緩法について

④ストレス管理

私たちは、生きている限りストレスから逃れることはできません。ストレスは病気をもたらす原因にもなりますし、また心の成長にもつながります。ストレスは、無駄な熱の産生を促したり、熱の巡りを悪化させることもあります。

 

私たちが抱えているストレスは何であるかを明確にすることでその管理ができます。

ストレス管理について詳しいご説明は以下のページをご参考にして下さい。

ストレス管理について

5.運動をする

体の中で、熱が一番作られるのは、筋肉です。生理的に加齢によって筋肉の量は減りますが、運動不足により筋肉の量が減ることの方が、活動代謝の低下を招き、熱の産生に大きくダメージを与えてしまいます。

 

また、運動をすることで、老化の予防につながり、加齢による筋肉の量の低下による熱の産生の低下を防止することもできます。

 

運動で効率よく熱を産生するためには抗重力筋を鍛える事を習慣化することが大切です。

 

抗重力筋とは、地球の重力に対して立った姿勢を保持する筋肉のことで抗重力筋は、背中とお腹の筋肉、お尻、足の筋肉です。私たちはこの筋肉を伸び縮みさせることで、多くの熱を産出しています。

 

激しい運動は一時的に熱を産生するには効率が良いのですが、年齢が高かくなるにつれて行うことが困難になり、習慣化することはなかなか大変です。それで、それほど激しい運動でもなく効率的に熱を作る運動を2つご紹介します。

①インターバル速歩

ウォーキングする女性

インターバル速歩は、早歩きとゆっくり歩きを数分間ごとに交互に行うウォーキング法です。

 

たとえば、2分早歩きしたら2分ゆっくり歩きをして、次に2分早歩きをします。そして一日、早歩きが合計15分以上、週4回以上続けます。

 

この運動法の利点は、早歩きの緊張と遅歩きの弛緩がリズムよく繰り返されることによって、自律神経に活力を与え、筋力、持久力が向上し、熱の産生力が高まります。

インターバル速歩の詳しいご説明は以下のページをご参考にして下さい。

インターバル速歩について

②インターバルスワイショウ

これは、私が勝手にネーミングしたものですが、回転のスワイショウと立禅を交互に行う運動法です。

 

スワイショウは、中国の気功体操の一つで、太極拳などの準備、整理運動で行われる体操で、回転のスワイショウは両手を胴体に巻き付けるように行う体操です。

 

立禅は、文字通り立って行う禅のようなもので、これも太極拳の準備整理運動で行われる体操です。

 

回転のスワイショウでは、左右片方ずつ重心を移動しながら、抗重力筋を鍛えます。立禅は、静止した状態で抗重力筋を鍛えます。

 

回転のスワイショウと立禅を同じ時間、交互に行います。たとえば、最初に回転のスワイショウを2分、次に立禅を2分行いこれを合計20分以上行います。

 

動的な回転のスワイショウと静的な立禅との組み合わせで、弛緩と緊張を繰り返すことによって熱の産出が高まり自律神経の乱れが整ってきます。

 

詳しいことは、以下のページや動画を参考にしてください。

回転のスワイショウについて

立禅について

動画 回転のスワイショウ

動画 立禅

 

6.食事の摂取

私たちは、食事を摂ると体温が上がります。これは、食べたものを消化・吸収する際にエネルギーを必要とするからです。そのエネルギー代謝を食事誘発性熱代謝といいます。

 

食事の摂取に関して、食事誘発性熱代謝による熱の産生だけではなく、食事の取り方や食材、栄養成分、食事を摂るタイミングによって熱の産生を効率よく行うことができます。

①栄養素

食物連鎖

私たちが生命活動を維持して行くために必要なエネルギーを作り出すための栄養として外界から取り入れる物を栄養素と言います。

 

栄養素は、熱を生み出すエネルギー源としての炭水化物、タンパク質、脂肪、冷え解消に役立つビタミン、熱の産生を助けるミネラルがあります。これらを五大栄養素と言います。

②食材

食材には、体温を上げる食材、下げる食材があり、また、食材を色、産地、生育の仕方によって見分けるポイントがあります。

 

【1】体温を上げる食材
*良質のたんぱく質:肉、魚、豆類
*発酵食品:味噌、漬物、しょうゆ、キムチ、酒かすなど
*血行を良くする:ニンニク、ショウガ、ネギ、唐辛子など
*余分な水分を排出する:温かい紅茶、黒豆、小麦、ハト麦、らっきょうなど

*温かい料理、加熱した料理:スープ、煮物、蒸し野菜・焼き野菜など

 

【2】体温を下げる食材
*体を冷やす:キュウリ、ナス、スイカ、マンゴーなど
*甘い物:白砂糖、ケーキ、清涼飲料水、まんじゅうなど。

*冷たい料理やデザートや飲み物:ビール、アイスクリームなど。

 

【3】食材を見分けるポイント
体を温め、温を上げるために効果のある食材か、体を冷やし、体温を下げる食材かを見分けるポイントを挙げて大きます。

 

A.色で見分ける 赤・黄・黒など色の濃い食材は、体を温める作用があるものが多く、青・緑・白など色の薄い食材や寒色の食材には体を冷やす傾向があります。

 

B.産地や旬で見分ける 寒い季節や地方では、体を温める食材が良く育てられ、暑い季節や暑い地方では、体を冷やす食材が育てられます。

 

C.生育の仕方で見分ける 地面の中で育つ根菜類などは体を温める食材が多く、地上に育つ葉や実などには、体を冷やす食材が多いとされています。

③時間をかけて良く噛む

食物を良く噛む男性

時間をかけて良く噛むことで、熱の産生を促します。

 

良く噛むことのメリット
*よく噛むことで食べ物が細かくなり、胃腸の消化吸収の負担が軽くなり、からだの熱を胃腸に集中させなくて済みます。
*食べ過ぎを防ぐことができ、肥満を防止し、熱の産生、巡りを妨げられずに済みます。
*咬筋をよく使うことで、熱の産生を促すことができます。

④食べる回数と時間帯

食べる回数と食べる時間帯によっては、胃腸に負担をかけ、熱の産生の効率が落ちます。

 

*できるだけ、一日3食同じ時間に規則的に摂ることによって生活リズムが正せます。
*一日2食では、十分な栄養を補うことができず、熱の産生力が低下します。
*朝は、温かくて消化のよいものを食べることにより、一日に活動のエネルギーが効率よく作られます。
*果物や糖分の多い食材は、昼間に食べるとエネルギーとして使われやすくなります。
*夜は、冷やす食材や冷たい物をなるべく摂らないようにすることで、就寝中に十分な熱が作られるのを助けます。

この記事の執筆者のプロフィール

伝馬町鍼灸院 院長 川添登

伝馬町鍼灸院 院長 川添登

昭和37年、10月5日生まれ。製薬会社の営業職に勤務していた頃、ストレスから軽い精神的な病にかかり、指圧や鍼灸施術を受け西洋医学とは違った角度からみる東洋医学に興味を持ち、27歳の時に鍼灸の専門学校に通う。

3年間の学習を終え、平成5年にはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得後、豊川で開業しながら様々な技法を学ぶ。

平成16年に現在の豊橋に引越しをして、皆様の健康の回復、維持、増進のお手伝いをしている。

家族:妻と娘の3人暮らし

趣味:読書・気功体操・自然歩道散策・魚釣り

好きな言葉:継続は力なり

  • このエントリーをはてなブックマークに追加