自律神経失調症 治療法 鍼灸について
「前回は、自律神経失調症の治療法で、心理療法のお話だったね。心理療法では、最近は、認知療法と行動療法を合わせた認知行動療法がよく使われるとのことだったね。今回は、どんなお話?」
今回は、物理療法のひとつとして、鍼灸療法についてお話しようね。
「鍼灸療法?」
そうだよ。鍼灸は、『はり・きゅう』または『しんきゅう』と呼ばれ、東洋医学の一つで、中国から発症した伝統医学を継承した、我が国の伝統医療だよ。鍼は、金属でできた細い鍼で、体表面に接触または刺入する方法で、灸は、ヨモギの葉っぱからつくられた艾(モグサ)で、体表面に直接、または間接的に燃焼させることで、健康の回復や、維持、増進を促進する療法だよ。
「鍼灸は、いつごろから始まったの?」
紀元前8~3世紀ともいわれているんだよ。日本へは、6世紀の初め、仏教の伝来よりやや遅く渡来したと言われているんだ
「へぇ~、そんなに古くから鍼灸は行われていたんだ。」
渡来して以来、明治時代初期あたりまでは、漢方薬といっしょに医学の主流だったけれど、幕末にオランダ医学(西洋医学)が入ってきて、明治政府の欧米化政策により西洋医学が医学に主流の座を明け渡して以来、衰退の一途をたどってしまったんだよ。
西洋医学は、戦争などで傷ついた兵士に対して外科的な処置に優れていたことも見逃せない事実なんだ。でも、最近は西洋医学でもなかなか治すことが難しい病の治療に使われたり、病気の予防的な、または健康増進的な考えの下、日本だけではなく、アメリカやヨーロッパでも盛んに鍼灸が行われているんだよ。
「ふ~ん、鍼灸にはそんな歴史があるんだ。ところで、鍼灸の道具ってどんなものがあるの?」
そうだね。下の写真を見てね。1番上の写真は、体に刺す鍼で、長さは、長いものは9㎝、短い鍼だと2mmの鍼があり目的に応じて使い分けるよ。太さは、大抵髪の毛よりもやや太いくらい。みんな裁縫の針や注射針を連想するから痛いイ
メージがあるけれど実際は繊細な鍼先なので、刺入する際、それほど痛みは感じないんだよ。
これもそれぞれ、目的に応じて使い分けるんだ。まだこれ以外にもいろいろあるけどね。
これもそれぞれ、目的に応じて使い分けるんだ。まだこれ以外にもいろいろあるけどね。
そうだね。結論から言えば、鍼灸がどうして効くのか、現代科学では未だ証明されていないんだよ。
「えっ!そうなの?」
そうなんだよ。鍼灸療法は、中国の古代哲学や思想が根幹にあるんだ。その哲学、思想には、見えるもの、見えないものすべてが、『気』」からできているというものだよ。そして、 『気』には『陰と陽の気』があるといわれている。
また、大自然を『大宇宙』とみなし、人間を『小宇宙(小自然))』とみなし、人間も自然の一部とみるんだ。中国伝統医学的な解 釈では、私たちの身体には生命エネルギー、いわゆる『気』が循環していて『陰の気と陽の気』が同じようにある。
この陰陽の気が流れるルート(経路)を『経絡(けいらく)』という。この経絡は、体表面と内臓とつながって全身をめぐるとされている。そしてこの経 路に『経穴(けいけつ:ツボ)』が360か所ほどある。経絡を線路にたとえるとツボは駅のようなものと思ってもらってもいいよ。
鍼灸はこの『経絡』や『ツボ』に刺激を与えて、『陰陽の気』のバランスを整えることによって健康の回復、維持、増進が図られるとされているんだよ。
「ん~・・・。『気、陰陽の気』、『経絡』、『経穴(ツボ)』といわれてもよくわかんないなぁ。」
そりゃ、そうだと思うよ。これらの言葉は、現代科学ではまだナゾとされているからね。ただ、鍼灸の効用について現代科学的に一部は理解されているところもあるんだよ。
たとえば、体表面の皮膚や筋肉には痛みや温度、触れられた感じを感じ取るセンサーがある。鍼灸の刺激がそれらのセンサーを刺激して、センサーが捉えた情報を脊髄や脳の中枢神経に伝えられ、その結果自律神経の活動に影響を与えることがわかっているんだ。
ある意味では、『陰陽の気のバランスを整える』ことを『自律神経の交感神経、副交感神経のバランスを整えること』と解釈した方がわかりやすいかもね(神経系に関しては当院の健康通信第57回を参照)。
また、鍼灸の刺激により、脳内の天然のモルヒネのような物質が出たり、脊髄で痛みを反射的にブロックしたり、筋肉の緊張が和らいで、血管が拡張され血の流れが良くなり鎮痛効果を発揮することもわかっているんだ。
さらに、外部からの侵入を防ぐ免疫系やホルモンを分泌する内分泌系の調整にも効果があるとされているんだよ。
「鍼灸療法ってわからないけど、なんだかからだによさそうだね。一回受けてみなくなったなぁ。」 今回は、これでおしまい。
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