自律神経失調症に治療に使われる薬について

薬

こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院 院長の川添です。

 

当院には、心療内科に通っているお客様でお薬を併用されている方が少なからずいらっしゃいます。

 

そのお客様の中で「自律神経に効く薬」と言われ、服用をされている方もおられます。

 

今回は、自律神経失調症に使われる薬についてお伝えします。

 

ただ、私はお医者さんではなく、調べた範囲でのお話になりますので、そのあたりはご了承下さい。

自律神経に直接働きかける薬は存在するのか?

薬には、それぞれ薬理作用というものがあり、ある病気に対して、その病理と薬の薬理作用がマッチして初めてその薬の効果を発揮することができます。

 

自律神経失調症は、私たちが自分でコントロールできない神経で、緊張させる神経である交感神経とリラックスさせる神経である副交感神経の2つがあり、この神経のバランスが乱れているために心身に様々な症状をひこ起こす状態を言います。

 

ですから自律神経失調症を治すお薬には、自律神経に働きかけ交感神経や副交感神経のバランスを整える薬理作用がなければなりません。

 

では、実際のところそんなお薬が存在するのか調べているとごくごく少数しか存在していないようです。

 

そもそも自律神経失調症は、医学的には病名ではなく、お医者さんで様々な検査をしたのにも拘わらず、医学的に検査に異常がみられない状態をひとくくりした総称なのです。

 

ですから、医療機関では、お客様の訴える状態に対して改善されると思われるお薬を選んで処方されているのが現状です。

 

では、自律神経失調症には、いったいどんなお薬が処方されているかというと、主に、自律神経調整薬と自律神経抹消作用薬、抗不安薬、抗うつ剤、睡眠薬、漢方薬が挙げられます。

 

それぞれを見てゆきましょう。

自律神経調整薬と自律神経抹消作用薬

主な自律神経調整薬一覧表

商品名 特徴
ハイゼット 腸管の働きをよくして肩こりや頭痛などに有効。不安や緊張を緩和。副作用は少ない。更年期に起こる冷え、のぼせなどの緩和・改善に用いられる。
グランダキシン 頭痛、頭重、倦怠感、発汗などに有効。、眠気、ふらつきなどの副作用あり。

自律神経調整薬は、自律神経の中枢である脳にある視床下部に直接作用して、交感神経と副交感神経にのバランスを整える薬と言われています。効き目は穏やかなので劇的な効果は望めません。

 

γ-オリザノール(ハイゼット)は、血液中のコレステロールや中性脂肪の量を減らす働きと、抹消の血管や脳の中枢に働いて、その機能を活発にして自律神経を整えるといわれています。γ-オリザノールは米ぬかの脂質に含まれています。

 

トフィソパム(グランダキシン)は、自律神経調整薬になっていますが、ベンゾジアゼピン系で、実際は催眠鎮静剤、抗不安剤の仲間です。

 

主な自律神経抹消作用薬一覧表

種類 商品名 特徴
βブロッカー インデラル 交感神経の興奮を抑制するため、動悸、不整脈、高血圧などに有効。喘息、低血圧のある人には不適。
 副交感神経遮断薬 ブスコパン けいれん性の胃痛などの胃痛症状に有効。まれに眠気、ふらつきなどがある。
 交感神経興奮薬 リズミック めまい、立ちくらみなど本態性低血圧や起立性低血圧の症状に有効。まれに食欲不振、動悸などの副作用がある。

自律神経抹消作用薬は、交感神経、副交感神経に直接働きかけて自律神経のバランスを整える薬です。自律神経の中枢である視床下部には作用しません。

 

βブロッカーは、交感神経の興奮を抑えます。動悸、ストレスによる血圧の上昇のなど、循環器系の症状に対して有効です。

 

副交感神経遮断薬は、副交感神経の興奮を鎮め、胃腸の緊張を和らげるため、腹痛、下痢、吐き気のある方に使われます。

 

交感神経興奮薬は、抹消の血管を収縮させて血圧をあげる働きのある薬です。立ち眩み、低血圧のある方に使われます。

 

インデラル(プロプラノール)は、βブロッカーは心拍をおさえ心臓を休ませる働きのある薬です。高血圧、狭心症、不整脈に使われます。また、片頭痛にも有効です。

 

ブスコバン(臭化ブチルスコポラミン)は、消化管の運動を抑える、胃液分泌抑制の働きがあります。

 

リズミック(メチル硫酸アメジウム)は、めまいや立ち眩みなどの起立低血圧の症状に有効です。

 

抗不安薬

抗不安薬一覧表

作用強度 商品名 作用時間
弱い リーゼ  短期
セレナール  長期
ハイロング 中期
  中程度 セダプラン  超長期
コレミナール  短期
コンスタン、ソラナックス 中期
メイラックス  超長期
エリスバン  長期
メレックス  長期
コントール、バランス  長期
セルシン、ホリゾン 長期
セディール  短期
 強い ワイパックス  中期
レキソタン、セラニン  中期
セパゾン、エデナール  長期
レスタス 超長期
デパス  短期

作用時間 短期:6時間以内 中期:12~24時間 長期:24時間以上 超長期:90時間以上

 

抗不安薬は、脳の感情や本能的な欲求を司大脳辺縁系の一部(GABA)に働きかけて、不安を和らげたり、筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせる効果があり、自律神経失調症では一般的に使用されています。「弱力精神安定剤(マイナートランキナイザー)とも呼ばれています。

 

訳もなく不安に駆られたり、気持ちが不安定でイライラする、ストレスが原因の自律神経失調症に有効です。

 

抗不安薬は、効き目が弱いもの、中程度のもの、強いものに大別され自律神経失調症は、おもに弱いものが処方されます。

 

抗不安薬には、眠気やふらつき、体のだるさなどの副作用が出ることがあります。抗不安薬は長期間飲み続けると薬物依存を起こす可能性があります。

 

抗うつ薬

主な抗うつ薬一覧表

種類 商品名 特徴
三環系抗うつ薬 トフラニール 最も古いタイプで、効果が現れるのが遅く、副作用が強い。
トリプタノール・トフラニール  抑うつ効果のほか、催眠鎮静効果が強い、副作用が出やすい。
アナフラニール  作用が強く効果も高いが、副作用が出やすい。
アモキサン  比較的新しく、以前のものより効き目が早く、副作用が少ない。
四環系抗うつ薬 ルジオミール  抑うつ、抗不安、催眠効果がある。副作用は比較的軽い。
テトラミド 抗うつ、催眠、鎮静の効果あり。眠気が強くでることがある。
テシプール
SSRI デプロメール・ルボックス  三環系より効果が弱いが副作用が少ない。
パキシル
 SNRI トレドミン  SSRIより効果あり。より早く効く。副作用は少ない。
その他 ドグマチール・アピリット  抗精神病薬に属す。月経異常や乳汁漏出などの副作用がある。
レスリン・デジレル  トリアゾロピリジン系。抗不安、鎮静作用もあり。副作用は少ない。

抗うつ薬は、病的なうつ状態を改善するための薬で、本来はうつ病に使われます。自律神経失調症で、抗不安薬を処方しても効果が見られない方に抗うつ薬が使われます。

 

抗うつ薬で憂鬱な気分を解消して意欲が高められることができます。また、頭痛や手足のしびれ、背中の痛みなどが緩和できます。

 

三環系抗うつ薬は、最もよく使われるもので、効果が出るまでに通常1~2週間かかるのが特徴です。副作用が強く、しかも効き目が出る前に副作用が現れるため、途中で服用をやめる方もいますが飲み続けることが大切。

 

副作用は、口の渇き、便秘、めまい、立ち眩みなどが起こります。

 

四環系抗うつ薬は、心身症型自律神経失調症などの軽い抑うつ症状に使われます。少量で比較的早く効果が表れ、副作用もなく、まれに眠気に襲われる程度です。

 

その他の抗うつ薬:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)、胃潰瘍などにも処方され、食欲不振に効果があるドクマチールやアピリットなどがあります。

催眠鎮静剤

作用時間 商品名 1日の服用量
超短期 ハルシオン 0.25~0.5mg
アモバン 7.5~10mg
短期 レンドルミン 0.25mg
リスミー 1~2mg
マイスリー 5~10mg
ロヒプロール・サイレース 0.5~2mg
中期 ネルボン・ベンザリン・カルスミン 5~10mg
エリミン 3~5mg
ユーロジン 1~4mg
長期 インスミン・ダルメート・ペノジール 10~30mg
ソメリン 5~10mg
ドラール 20~30mg

作用時間 超短期:6時間以内 短期:12時間以内 中期:24時間前後 長期:30時間以上

 

睡眠障害は、自律神経失調症の代表的な症状の1つです。

 

眠れないのは、強い不安や緊張などによって中枢神経が興奮を続けているからで、こんな場合は睡眠薬の助けを借りて十分な睡眠を確保することが大切です。

 

睡眠薬は、一般に、作用する時間の長さによって超短期、短期、中期、長期に分けられます。

 

寝つきが悪い場合には、超短期火短期の薬が、熟睡できない、早くに目が覚める場合は中期か長期の薬がよく使われます。

 

睡眠薬も抗不安薬と同様に、習慣性があります。自分で判断せず、医師の許可が出るまで飲み続けます。

 

睡眠薬を服用している間は、ありコールを控えます。特に酔っている状態での服用は呼吸や血圧のトラブルにつながります。

 

薬を飲む場合は、飲酒から2時間以上の時間を空けましょう。

漢方薬

自律神経失調症に使われる主な漢方薬

漢方薬名 適応症状
加味逍遙散(かみしょうようさん) 頭痛、肩こり、めまい、ほてり、のぼせなどをとも伴うの、不眠、イライラなど
柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 神経不安があり、動機、便秘、めまい、頭痛、不眠などを伴うもの
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 腰や足の冷え、頭痛、肩こり、耳鳴り、腹痛などを伴うもの、月系不順など。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) のどの閉そく感、食堂の異物感などを伴うもの、動悸、イライラ、不安など。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) 低血圧気味の人の立ち眩み、胃が張った感じ、頻尿など。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう) のぼせによる胃部のつかえ、目の疲れを伴うもの、不眠、イライラなど。
小柴胡湯(しょうさいことう) 胸部わきの圧迫感や痛み、食欲不振、吐き気などを伴うもの。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 神経過敏、不安などを伴うもの、手足の冷え、疲労、発汗、動悸など。

東洋医学では、体と心は一体(心身一如)ととらえて、病気の原因は、体質、環境、生活習慣の3つの要素が重なりあったところにあるとみなします。

 

漢方薬は、特定の症状だけを取り除くのではなく、全身状態に適合したものを組み合わせて、自然治癒力を引き出すものなので、様々な症状が総合的に軽快してゆきます。

 

漢方薬は、お客様の個々の状態に合わせて処方されます。本来漢方薬は、生薬を煎じて服用するものですが、最近はエキス剤や顆粒状のものが主流です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

自律神経は私たちがコントロールできない神経で、自律神経失調症は緊張させる交感神経とリラックスさせる副交感神経の乱れによってさまざまな症状があらわれる状態で、医療機関は患者様に薬を処方します。

 

薬には、薬理作用があり、病理と薬理作用がマッチして初めて効果を発揮します。

 

自律神経失調症に対しての薬は自律神経に働きかけるものではなくては、効果を発揮しません。

 

自律神経失調症に使われる薬は、自律神経に働きかける作用機序を持つものが非常に少なく、医療機関はお客様の症状に合わせて、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠鎮静剤、漢方薬を処方しています。

 

 

これらの薬は症状の緩和、鎮静を目的に処方されているだけで、肝心な自律神経に作用を及ぼさないだけはなく、長期間服用することで、依存性を高めたり、副作用が出やすいことになってしまいます。

 

今後、処方された薬はどのようなものなのかご自身で調べてから服用を心がけましょう。

 

 

自律神経失調症について詳しくはこちら

この記事に関する関連記事

伝馬町鍼灸院