こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院 院長の川添です。
台風が来る前は、体調がすぐれない、雨の降る前は必ず体調が悪くなる、梅雨時期になると関節が痛むなど天気、季節の変わり目、1年の中で必ずこの月には体調が悪くなることってありませんか?
これは、天気、気象の変化に対して体が、それをストレスとして感じ、自律神経が乱れるために起こる状態です。
このように、天気や気象の変化について行けず、体調が悪くなる状態を「気象病」と言います。今回は、自律神経と気象病についてお伝えします。
気象病とは?
気象病とは、私たちを取り巻く環境のうち、気圧、気温、湿度の急激な変化によって体がだるい、重いを始め、頭痛、関節痛など痛み、めまい、うつ、喘息、心筋梗塞、脳梗塞など軽症から重症まであらゆる体調不良が現れる現象を言います。
なぜ天気、気象の変化が体調不良を招くのか?
では、なぜ天気や、気象の変化が体調不良をまねくのか?というと、そこには自律神経が関与しています。
私たちの体を無意識のうちにコントロールしてくれている神経が自律神経ですが、私たちの体が、気圧、気温、湿度を外的なストレスと感じ、自律神経が体の状態を一定に保とうとして活動しますが、急激な変化について行けず、体調が崩れてしまうのです。
自律神経は、体を興奮させる交感神経とリラックスさせる副交感神経がありますが、日頃からこの2つの神経がバランスが整っていてメリハリのある働きをすれば環境にすぐに対応できますが、自律神経が乱れがちな人は気圧、気温、湿度の変化について行けずに体調が崩れてしまいます。
自律神経の乱れに関して、交感神経の方に傾くのか副交感神経に傾くのかは個人差があります。
交感神経に偏ると主に痛み、副交感神経に偏ると眠気、倦怠感、だるさを感じます。
どうして気圧、気温、湿度が自律神経を乱すのか?
では、どうして気圧、気温、湿度が自律神経を乱すのか?ということですが、それは以下の理由から考えられます。
1.気圧の関与
最近の研究では、気圧、気温、湿度の変化のうち、気圧の関与が大きいと言われています。
その一つに耳に内耳が関与していることが言われています。
内耳という所は、体の平衡感覚を司る三半規管や、音を感知する蝸牛がある所ですが、その内耳に気圧の変化を感じるセンサーがあり、内耳が過敏なため、脳にある自律神経の中枢に過剰に刺激を与えてしまい自律神経が乱れることが言われています。
もう一つが、高気圧の場合は、体に対して高い圧力がかかり、体全体が引き締まっている状態ですが、低気圧の場合は体に対して、体全体に対して圧力が弱くなり、そのために血管の収縮、拡張に影響を与えるために血流が変化して、様々な症状が現れるとも考えられています。
2.気温の関与
私たちの体は気温の変化にさらされても、自律神経のおかげで体温を一定に保ち、体の働きを一定に保つことができます。
気温が低くなると、甲状腺ホルモンや副腎髄質ホルモンの分泌を促し熱を産生を増大させ、さらに気温が低くなると、筋肉を自然に細かく動かし、震えを起こしたり、褐色細胞や筋肉、肝臓の代謝を高め熱産生を促します。
また交感神経の活動が高まり、皮膚血管を収縮させ、さらに立毛筋を使い立毛を起こすことによって体表面の空気層を厚くして放熱を予防します。
逆に気温が高くなると、皮膚血管を支配している交感神経の活動が低下して血管が広がり、皮膚から熱を放出したり、風などの空気の対流、汗をかいてその気化熱を奪われることで、体温を上昇を防ぎ一定の状態を保ちます。
汗腺は、交感神経に寄って支配されていて、この神経の活動が亢進すると発汗が促されます。
体温調節の中枢は、自律神経の中枢と同じ視床下部にあります。自律神経のバランスが整っている方では、体からのセンサーから受け取った視床下部にある体温調節中枢が自律神経にバランスよく命令を下すとこができますが、バランスの乱れている方では、自律神経が命令通り働いてくれないために、体調不良が起こります。
3.湿度の関与
湿度の高い環境では、汗をかくことで熱を放出することが困難になり、体に不必要な水分が溜まりやすくなります。これが体がストレスと感じ、自律神経の中枢を刺激しますが、日頃から自律神経の乱れのある方では、自律神経の中枢が過敏となっており、自律神経が過剰に働き、様々な症状が現れます。
気象病に対しての対策
気象病に対しての対策は、日頃から自律神経を整えておく必要があります。自律神経を整える方法についてお伝えします。
1.ストレスの管理
2.日常生活リズムを整える
私たちの体には、一日リズム(概日リズム、サーカディアンリズム)または体内時計が備わっています。
私たちの体は、昼間に活動して、夜は睡眠をとるように作られています。
夜に睡眠を十分にとり、朝食をしっかり摂るなどリズムある日常生活週間を身につけましょう。
正しい日常生活習慣に関しては、コチラをご覧ください。
3.運動をする
運動には、無酸素運動、有酸素運動などさまざま運動方法があります。
自律神経の乱れを整える運動方法は、メリハリをつけた運動が最適です。
メリハリを漬けた運動とは、静と動や強と弱を組み合わせた運動です。
なぜ、メリハリをつけた運動が良いかというと、自律神経は、活動する神経と休息する神経でメリハリがある方がより健全な働きをしてくれます。
例えば、ウォーキングに関しても、ただダラダラ歩いたり、キビキビと歩くのではなく、その両方を交互に行います。これをインターバル速歩と言います。
インターバル速歩は、ゆっくり歩く時間と早めに歩く時間を同じにして、交互に切り替えて歩く運動法です。
インターバル速歩に関しては、コチラをご覧下さい。
室内では、立禅とスワイショウの組み合わせが効果的です。
4.食事を意識する
食事は、体を健康に維持するためになくてはならないものですが、意外とおろそかになっています。
食事に関して、栄養素、食材、回数、良く噛むことなど意識することが必要です。
食事に関しては、コチラをご覧ください。
5.腹式呼吸
自律神経は、自分の意思ではコントロールできない神経ですが、その神経にある程度直接的に影響を与える方法があります。
それは、呼吸です。
呼吸は無意識に呼吸していることがほとんどですが、意識的に変えることができます。意識的に呼吸をすることである程度直接的に自律神経に影響を与えることができます。
呼吸には、胸式、腹式、逆腹式呼吸(武術で使われる呼吸)がありますが、自律神経を整えるには、腹式呼吸で良いでしょう。
腹式呼吸に関しては、コチラをご覧ください。
6.お風呂
お風呂は自律神経に良い影響を与えます。
お風呂の温度によって自律神経の交感神経、副交感神経に与える影響が違います。
高温のお風呂では交感神経が、低温では副交感神経を刺激します。
お風呂に関しては、こちらをご覧ください。
7.お灸
お灸は、もぐさを皮膚の上に直接または間接的にのせて燃やし、その温熱刺激で体の変調を整える方法の一つです。
艾の適度な温熱刺激が脳にある自律神経の中枢である視床下部に伝わり、その反応として自律神経が体調を整えようと働いてくれます。
現在、台座の付いたお灸が市販されています。そのお灸を使い、ツボを刺激することで自律神経を整えることができます。
お灸のやり方については、コチラをご覧ください。
気象病の根本的な原因
気象病は、気圧、気温、湿度によって自律神経が乱され様々な症状を現わす病ですが、気圧、気温、湿度が原因ではありません。
当院では、気象病の根本的な原因は、「体の熱の産生力、循環力の低下」と考えています。
体温のコントロールセンサーは脳にある視床下部という所でここは自律神経の中枢でもあります。
体の熱を産生するのは、全細胞です。全細胞の機能が低下した時に熱を産生する働きが低下します。
また、熱を循環させるのは、主に臓腑(内臓)の働きです。内装の働きが低下すると熱の産生力だけではなく循環力も低下します。
体の熱の産生力、循環力が低下すると体に「冷え」が生じます。
この冷えが、自律神経の中枢へ送るセンサーの感度を落とし、自律神経の中枢である視床下部へ間違った情報を与え、さらに視床下部は誤動作を起こし、自律神経を不安定にさせてしまい、自律神経が乱れると考えております。
まとめ
気象病とは、体が、気圧、気温、湿度の変化についゆけず、それによって体に様々な症状が現れた病のことを言います。
気象病が起こる原因は、自律神経の乱れがあり、最近では特に気圧の変化が内耳に関与していて、自律神経に影響を与えています。
しかし、気象病の起こる根本的な原因は、体の熱の産生力、循環力の低下で、体に「冷え」が生じ、そのために自律神経の中枢である視床下部に間違った情報が伝えられ、視床下部が誤動作を起こし、自律神経の乱れが生じます。
自律神経を日ごろから整えておくには、ストレスの管理、生活リズムを整える、メリハリのある運動をする、食事を意識する、腹式呼吸をする、お灸をすると良いでしょう。
この記事の執筆者のプロフィール
伝馬町鍼灸院 院長 川添登
昭和37年、10月5日生まれ。製薬会社の営業職に勤務していた頃、ストレスから軽い精神的な病にかかり、指圧や鍼灸施術を受け西洋医学とは違った角度からみる東洋医学に興味を持ち、27歳の時に鍼灸の専門学校に通う。
3年間の学習を終え、平成5年にはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得後、豊川で開業しながら様々な技法を学ぶ。
平成16年に現在の豊橋に引越しをして、皆様の健康の回復、維持、増進のお手伝いをしている。
家族:妻と娘の3人暮らし
趣味:読書・気功体操・自然歩道散策・魚釣り
好きな言葉:継続は力なり
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