2025.11.16 お灸教室 お灸の基礎

お灸教室に参加されたお客様

こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院 院長の川添です。

11月16日、当院にてお灸教室を行いました。今回は、4人参加していただきました。

県外から参加された方もいました。地元が愛媛県で「お灸を据える」ことを「やいとを据える」と言っていたと教えてもらいました。

今回も、和気あいあいと楽しい時間を共有させていただき、感謝申し上げます。

お灸は、ヨモギの葉っぱから精製したもぐさを使って体表にあるツボに適度な温熱刺激を与え、健康の回復、維持、増進を図る東洋の伝統的な医療術の一つです。

東洋医学の代表として、他にも鍼や漢方薬があります。鍼や漢方薬は、科学的な根拠に基づく研究が進み、テレビでもしばしば放送されるようになりました。その点、お灸は研究が少ないために科学的な根拠が乏しくまだまだマイナーな医療術です。我々、鍼灸師でさえお灸を主体に施術している施術所は少ないのが現状です。

それでも2021年のノーベル生理学医学賞の温度センサーであるTRPチャネルの発見や2025年の同賞である制御性T細胞の発見など、お灸にも関連づけられる話題がありますので、今後はお灸の研究も進んでゆくと思われます。

科学的根拠に乏しいお灸ですが、実践的には、お灸は火を扱うことから起源的は一番歴史が長いと考えられています。

6世紀あたりに中国から日本に伝来された漢方薬、鍼灸ですが、当初は鍼よりもお灸の方が臨床として使われていたといわれます。

伝来当初、お灸は、貴族の方のための医術でしたが時代を経るにつ連れ、江戸時代には庶民もお灸を据えるようになり、医療としての独自の発展とともに文化的な側面をもつ医療術となりました。

私たち鍼灸師だけではなく一般の家庭でもできるところがお灸の素晴らしい所です。

今では戦前と違い、熱い火傷の痕を残すお灸から台座のついた簡便な心地の良いお灸に変わり、薬局でも販売されています。

お灸に興味はあるのだけれど、初めて自分でお灸を据えるには敷居が高い、と思っている方も多いと思います。

そこで伝来当初お坊さんが庶民に普及させたように、プロである私たち鍼灸師がお灸の伝導者であるべきではないかと思っています。

少しでもお灸のすばらしさをお届けしたいという思いでお灸教室を開催しております。

お灸教室に参加されるとご自身でお灸を据えられるようになりますし、ご家庭の方にも据えられるようになります。

次回は、12月21日日曜日午前10時から、当院で行います。参加費は6,600円(税込み)です。残り2名様を募集しています。

来年1月は18日日曜日です。こちらは4名募集します。

お灸教室に参加されたい方は、当院にお電話0532-63-6093もしくはLINEを登録していただき、「12月のお灸教室参加希望」とメッセージを送っていただくか、お灸施術を受ける時にでもお伝えください。

定員になり次第、締め切ります。

写真は左右にスライドできます

モグサ作り体験

もぐさ作り

もぐさはの原料はヨモギの葉っぱです。葉っぱの裏をみると白色しています。

これば、専門的は「毛茸(もうじょう)」と「腺毛(せんもう)」からできています。腺毛にはシネオールという揮発性の精油が含まれており、燃やした時に独特の香りがします。

すり鉢で乾燥させたヨモギの葉っぱをすりつぶし、ザルで不純物を取り除くながら繰り返すとだんだんとモグサらしくなります。

これをやるには労力がかかりますが、現在ではコーヒーミルなどで簡単に作れます。ただ、コーヒーミルで作ったモグサは線維が切れているので、プロの鍼灸師ができたもぐさを触れるとややごわごわした印象を受けます。

ショウガ灸

出来上がったもぐさを使って合谷(ごうこく)にショウガ灸

皆さんで作ったもぐさを使ってショウガ灸を据えました。

もぐさと皮膚の間に物を介在させて行う灸を隔物灸と言います。隔物灸にはショウガの他に、塩、みそ、ニンニクや琵琶の葉を使います。またお寺で夏に暑気払いとして行われる焙烙(ほうろく)灸も隔物灸です。

ショウガ灸は、ショウガの温める、血行を良くする成分であるジンゲロール、ショウガオールの働きとお灸の熱とヨモギの香りの成分であるシネオールの作用により自律神経の副交感神経が刺激され、心身が癒されます。

足三里へのお灸

足三里(あしさんり)へのお灸

鍼灸師がセルフ灸として初めての方にお勧めするツボが足三里です。

膝がしらの外側下の凹みに指4本分下、外くるぶしに向かったライン上で
凹んでいる、押すとズーンとする、ぶよぶよしているなど周りの皮膚と違った感覚のするところに取ります。

このツボは、鍼灸師は一番使うツボです。

イギリスのチャリティー団体であるモクサアフリカは、アフリカで結核やエイズ、薬物に苦しんでいる人に対して火傷の痕のつくお灸(有痕灸)を教えてその効果の研究を続けています。

太白のツボへお灸

太白(たいはく)のツボへのお灸

太白は、足の親指側で足裏と足の甲の間の辺りを内くるぶしの方に向かって指でなぞると出っ張った骨があります。その後ろのくぼんだ所に取ります。

このツボは、足の太陰脾経という経絡に属するツボです。主に消化器に全般に使われるツボです。体がだるい、重いなどにもこのツボは有効です。

湧泉のお灸

湧泉(ゆうせん)へのお灸

湧泉は足の裏、足の指を足裏に曲げ、一番凹んだ所に取ります。このツボは、東洋医学では腎の働きを助け、生命力を高める働きがあります。参加者の方に、片足立ちをしていただき、不安定に感じられる側の足の湧泉にお灸をして、再度その足で立ってみると施灸前よりも安定した感じを得ることができます。

ツボの刺激が神経や血管、筋肉に何らかの作用を与え、一時的としても1つのお灸で変化がわかるとお灸のチカラを感じます。

器具を使ってのお灸

器具を使用した棒灸

器具を使用したお灸では、棒灸を使います。棒灸は筒状にした紙の中に粗目のもぐさを詰め込んだものです。それを器具にはめ込んで使います。

器具を使った棒灸は、ツボを意識することなく、点ではなく面で温めるので広い肩こり、首こりを始め手足など大きな筋肉の広範囲を温めるのに便利です。

長い取っ手を使うと自分の手が届かない背中までお灸を据えることができます。

器具を使わない棒灸

器具を使わない棒灸

棒灸は器具がなくても使えます。足先や手先などの末端、足のツボを温めることで自律神経に良い影響を与えることができます。

末端冷え症の方には、足指を温めることにより随分と冷え感が軽減されます。

火を使わないお灸

三陰交に火を使いわないお灸

三陰交はうちくるぶしの頂点から指4本分の高さで骨の際にあります。このツボは3つの経絡(肝経、脾経、腎経)が交差する所です。

生理不順、下痢、便秘などの下腹部のトラブルを始め、冷え症や精神的不安定な状態など多岐にわたる症状に使われます。

火を使わないお灸は、シールになっているので持続的に温めることができます。

2時間ぐらいは持続して温かいので、立ち仕事やデスクワークなど足の疲れや冷えの予防にも使うことができます。

ヨモギの乾燥

ヨモギの乾燥

採取したヨモギの葉っぱを自宅で乾燥させる場合は、野菜を天日干しするネットを使用すると便利です。7~10日乾燥させます。

参加された方のアンケート

豊橋市 女性 57歳 主婦

お灸教教室アンケート 

豊橋市 女性 74歳 主婦

お灸教室アンケート

県外 女性 76歳 主婦 

お灸教室アンケート

豊橋市 女性 73歳 主婦

お灸教室アンケート

伝馬町鍼灸院