「冷え」を蓄積させない日常生活習慣 体温のお話 その3.

水銀体温計

こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院の川添です。

 

体温について第3回目のお話です。

 

今回は、体温はどうやって維持されているかのお話です。

 

体温は、体の代謝に伴う熱産生と熱放散量のバランスで決まります。

熱の産生

熱の産生には以下のものがあります。

 

①代謝によるもの

②ふるえによるもの

③非ふるえによるもの

④運動

⑤ホルモンの作用

⑥放熱の防止

①代謝によるもの

私たちの体は60兆個の細胞からできています。それぞれの細胞で代謝という化学反応が起こって活動のためのエネルギーを消費すると同時に熱を産生します。

 

エネルギーの元となっているのが、たんぱく質、炭水化物、脂肪です。自動車に例えると、食べ物がガソリンで、各細胞がエンジンで、動く(活動する)と熱が発生します。

 

動かず何もしない状態でも熱は作られます。この時の代謝を基礎代謝と言います。自動車に例えると、アイドリングしている状態で、走ってはいませんがボンネットは熱くなります。

 

安静時における部位別熱生産の割合は、

骨格筋約22%、肝臓約20%、脳約18%、心臓約11%、腎臓約7%、皮膚約5%、その他約17%で、骨格筋、肝臓、脳での熱生産が目立ちます。

 

また、食べ物を食べても消化、吸収するに熱が発生します。これを特動的作用と言います。

②ふるえによるもの

寒くなると自然に体が震えますよね。これは、熱を生み出すために自然と体が骨格筋を振動、収縮させる現象です。この時、筋肉は内側の筋肉と外側の筋肉が同時に振動します。

③非ふるえによるもの

寒い時には、②のふるえの他に首や肩甲骨の周辺にある褐色細胞腫が直接熱を作り出します。これを非ふるえと言います。

④運動

運動による熱生産は、骨格筋によるものです。軽度の筋運動では、安静時の2倍、重労働では3~4倍、短時間の重労働の場合、10倍に達します。

⑤ホルモンの作用

甲状腺ホルモン:代謝促進作用があり、長時間にわたり熱産生を促します。

 

副腎髄質ホルモン:グリコーゲンを分解して血糖を高め、熱産生を促します。

 

女性ホルモン:排卵直後から月経に至る前までの間、基礎体温が高く保たれます。

⑥放熱の防止

私の体は、寒さを感じると、放熱を防止するために皮膚血管を支配する交感神経の活動が高まり、皮膚血管を収縮させ、熱の放散を防ぎます。

 

また立毛筋支配の交感神経の活動も高まり、立毛を起こし、体表面の空気層の暑さを増し、放熱を防止します。

熱放散

熱放散には以下のものがあります。

 

①輻射

②伝導

③対流

④蒸散

⑤発汗

①輻射

輻射は最も単純に熱体から発している事です。人間は常に赤外線が放射されています。

それによって体温がたかくならないように調整しています。

②伝導

熱は高い方から低い方へ伝わります。温度の高い物質が温度の低い物質に接触していると温度の高い物質は、低い方の物質に熱が流れます。

 

私たちの皮膚は常に周りの空気と接触します。周りの空気の温度が低ければそれだけ熱を奪われます。

③対流

熱を発する物質の周りに流体があると熱は奪われます。

 

体の周りには空気が動き、それによって熱が奪われます。

④蒸散

水が体の表面から蒸発する際に、気化熱が体熱を奪います。皮膚と呼気から行われる放熱をを蒸散と言います。

 

私たちの体は、気づかないまでも皮膚から水分が蒸発しています。これを不感蒸泄と言います。

⑤発汗

発汗は皮膚表面にある汗腺を通して行われます。

 

汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺があります。

 

エクリン腺は、体表面に開口して希薄な汗を分泌します。熱帯で育った人はその総数は多く、寒冷で育った人は少ないです。

 

アポクリン腺は、ヒトでは、腋窩、陰部そその周辺および乳輪に分布しています。

 

体温調節に関しては、エクリン腺の働きが関与します。

 

発汗は、生理的には、温熱性発汗と精神性発汗があります。

 

温熱性発汗は、高温の環境下に置かれた場合、深部体温や皮膚温が上昇した時に掌、足の裏を除いた全身性の皮膚に起こり、蒸発性放熱に関与します。

 

精神性発汗は、心の緊張や感動など掌、足の裏、腋窩、前額などに認められる発汗です。

体温調節

体温の調節は、熱産生と熱放散のバランスによって保たれます。

 

産熱量の調節による体温調節を「体温の化学的調節」といい、輻射・伝導・対流・蒸発の物理的な調節を「体温の物理的調節」と言います。

 

これらはいづれも自律神経によって調節されますので、自律性体温調節反応と言います。

 

 

また、私たちは衣服を脱着したり、エアコンで室内の温度を調節したり、日陰に入ったり日向ぼっこしたりして体温を調節しますよね。これを行動性体温調節と言います。

体温の調節システム

体温調節の中枢は脳の視床下部という所にあります。

 

視床下部にある体温調節中枢には、放熱中枢(温中枢)と産熱中枢(冷中枢)があります。

 

視床下部には、エアコンの自動調節機能と同じように、あらかじめ適切な基準となる体温が設定されており、皮膚にある温度受容器(温点、冷点)が感知した情報や、深部温度を感知した情報が送られてくると、基準に合わせるように産熱、放熱を行うことで常に体温を一定の状態に保っています。

まとめ

今回、3回にわたって体温についてお話してきました。

 

体温は、血圧、脈拍、呼吸と並んで生命状態を知る情報として重要な指標になります。

 

私たちは、両生類や爬虫類のような変温動物と違い、体温を一定に保つことができる恒温動物で、体の細胞が代謝をする際に発生する熱を源としています。

 

体温は、表面の温度と深部の温度があり、深部の体温は周りの環境に影響されずに一定していて、正確な体温は、心臓から送り出される温度です。

 

日頃、健康である時の体温を平熱と言いますが、日本人の平熱は36.89±0.34℃の範囲にあり、個人差がありまた一日の中でも変動します。

 

私たちは、体温調節中枢である視床下部において、産熱と放熱を無意識的に自律神経を介して行ったり、衣服の脱着やエアコンを使うなど意識的に行動して体温を調節します。

 

 

当院では、鍼灸施術の前後に脇の下の体温だけではなく、お腹、額、両手、両足の体表温度を測定して数値の評価を取り入れています。

 

「冷え」を蓄積させない日常生活習慣として、是非日頃から体温を測定しましょう!

この記事の執筆者のプロフィール

伝馬町鍼灸院 院長 川添登

伝馬町鍼灸院 院長 川添登

昭和37年、10月5日生まれ。製薬会社の営業職に勤務していた頃、ストレスから軽い精神的な病にかかり、指圧や鍼灸施術を受け西洋医学とは違った角度からみる東洋医学に興味を持ち、27歳の時に鍼灸の専門学校に通う。

3年間の学習を終え、平成5年にはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得後、豊川で開業しながら様々な技法を学ぶ。

平成16年に現在の豊橋に引越しをして、皆様の健康の回復、維持、増進のお手伝いをしている。

家族:妻と娘の3人暮らし

趣味:読書・気功体操・自然歩道散策・魚釣り

好きな言葉:継続は力なり

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