伝馬町鍼灸院健康通信 侮ることなかれ歯周病 その1

伝馬町鍼灸院健康通信
侮ることなかれ 歯周病 その1

「今回は、何のお話かなぁ?」

今回は、歯周病だよ。

歯周病?

「そうだよ。歯周病は、歯の病気ではなく、歯肉(歯茎)、歯を支える歯槽骨、歯根の周りのセメント質、歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜の4つから成る歯の周りの組織(歯周組織)に炎症が起こり、長い時間をかけて徐々に進行する感染症なんだよ。」

「へぇ~感染症なんだ。でもどうして歯周組織に炎症が起こるの?」 </p>
一番の原因は、口の中の不衛生のままにしておくことなんだ。通常、口の中は正常な範囲内でいろいろな細菌がバランスを保って存在していて、これを口腔内常在細菌叢(そう)というんだけれど、口の中を不衛生にしたままにすると、そのバランスが崩れ歯周病を引き起こす細菌がプラーク(歯垢)をつくり、それが歯と歯茎の境目あたりに炎症を起こすんだよ。

これは歯肉炎とも呼ばれるよ。炎症が続くと歯と歯肉の間の溝が深くなりポケットができる。そのポケットにプラークが溜まるようになると歯槽骨など歯肉以外の歯周組織に炎症が起こる。これは、歯周炎と呼ばれるね。

さらに放置するとそのポケットは歯周ポケットと呼ばれ、出血や膿がでたり、歯がぐらつき、抜けてしまうこともあるんだよ。歯周病は、早い時期に自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しやすい特徴があるよ。

「うわぁ~、けっこう怖いねぇ!日ごろから自分でチェックする方法はないの?」
あるよ。以下の項目にあてはまるかどうかチェックしてみて。 ① 歯茎が赤色や紫色になっている。② 歯茎がむずがゆく、歯が浮く感じ。③ 歯磨きすると、血が出る。④ 起床時に口の中がネバネバする。⑤ 歯茎が赤く腫れ、ブヨブヨしている。⑥ 何もしなくても、歯茎から血が出る。⑦ 歯がぐらついて、物が噛めない。⑧ 冷たい水がしみる。

①~⑤までに1つでも当てはまれば、歯周病の可能性があるよ。⑥~⑧のうち1つでも当てはまれば 進行した歯周病の可能性があるのですぐに歯科へ行って治療する必要があるね。

「歯周病の予防や治療には、歯磨きでプラークを取り除くことが必要だよね。」

そうだね。プラークを放置すると、2日間ぐらいで石灰化が始まり、硬い「歯石」になるんだよ。歯石は、歯磨きでは取り除くことができないので、プラークのうちに毎日歯磨きをして取り除くことが
大切なんだよ。

ただし、一日に何度も歯磨きしてもプラークが取り除かれなければ意味がないから磨き残しをしないようにすることも重要なんだよ。

「磨き残しをしないようにするには、どうしたらいいの?」
それには以下のことに注意する必要があるね。

1.磨き残しが起こりやすい場所を知る:一般に磨き残しが起こりやすいのは、「利き手側の上下の内側」だよ。他には「歯列の最も奥の歯の後ろ側」「歯並びが悪いところ」「詰め物、かぶせ物の周り」 だね。

2.磨く順番を決める:磨き残ししないようにいつも同じ順番で磨く。例えば、下の歯の内側を右から左へ→上の歯の内側を左から右へ→上の歯の外側を右から左へ→下の歯の外側を左から右へ→下の歯の噛む面を右から左へ→上の歯の噛む面を左から右へ のように一筆書きの要領で行う。歯磨きの最後に歯間ブラシやデンタルフロスを使用する。

3.歯の形を意識して磨く:前歯の内側は、歯ブラシを縦にして、ブラシの持ち手よりの端の部分を、歯肉との境目に辺りに当て、歯のカーブに沿うようにして歯ブラシを動かす。奥歯の噛む面は、細い溝がある。

歯ブラシを1~2本の歯の噛む面に上から当て、溝に毛先が入るように、小刻みに動かす。外側、内側なども、歯ブラシを大きく動かさず、小刻みに動かすと、歯と歯の間、歯と歯肉の間に毛先が届く。

歯列の最も奥の歯の後ろ側は、口を大きく開け、歯ブラシを縦にして、奥歯の後ろ側に当てて磨く。または、口を閉じ気味にした状態で、唇を横に引っ張るようにする。奥歯の後ろ側に歯ブラシを周り込ませるようにして当てて、磨く。

4.歯磨きのタイミング: 歯磨きは、毎食後に行うのが基本。できれば間食のあとにも磨く。

5.歯科でのケアを組み合わせる: 3~4ヶ月、少なくとも半年に一回は歯科でチェックを受ける。

「歯ブラシの持ち方や歯への当て方の基本はどうなの?」
歯ブラシの持ち方の基本は歯ブラシを親指、人差し指、中指の3本の指で鉛筆を持つ様に、また指で挟むように持つと過度の力が加わらず歯肉を傷つけることは少ないよ。また、歯ブラシの当て方の基本は、歯ブラシは歯に対して、斜め、あるいは直角に当てて磨く。

歯と歯肉の境目に当たっているかどうかを注意することかな。次回は、歯周病の全身への影響についてお話するね。
今回はこれでおしまい。

伝馬町鍼灸院