今回は、介護する人の高血圧のお話です。
2000年に「介護保険制度」がスタートして家族介護者の心身の健康状態にさまざまな課題があるということがしだいにわかってきました。
その一つが介護する人の高血圧です。
日本は超高齢社会になり、介護される人だけではなく、介護する人の高齢化も進んでいます。血圧は、一般に加齢とともに上昇する傾向があるために高齢になるほど、高血圧に注意する必要があります。
高血圧の危険因子
自宅で介護している人の生活には、次のような高血圧になりやすい危険因子がよくみられます。
睡眠不足、不眠:睡眠は、血圧を正常に保つために重要な働きをしていて、睡眠不足や不眠は高血圧と関連が深いことが報告されています。夜間に体位変換やおむつ交換などで何度でも起きなければならない場合、夜間でも血圧があまり低下しない傾向にあることがわかってきました。
精神的ストレス:自宅で介護していると、「介護生活の先が見えない」「誰からもねぎらってもらえない」などの不安や精神的疲労などを感じている人が多いそうです。「不安や緊張感が持続して、リラックスする時間がほとんどない」というような精神的ストレスの大きい生活は高血圧の危険因子の一つです。
過労:自宅での介護は、断続的に24時間続き、休みがありません。そのため、体の疲れが積み重なって過労になる傾向が見られます。過労も高血圧の危険因子となります。
食生活の乱れ:自宅で介護していると、忙しい生活の中で、自分の食事のための買い物や調理、食べる時間がなかなか取れないために、栄養バランスが偏りがちになります。塩分の取りすぎは高血圧の要因の一つですが介護している人はしていない人より塩分摂取量が約30%多いという報告があります。
対策
健康診断や病院で測定した血圧値は、正常範囲でも、夜間や早朝などに高血圧になる人が少なくないことがわかっています。血圧の状態を正確に知るためには、自宅で血圧を測ることが大切です。
1日2回決まった時間(夜寝る前と朝起きた時)に血圧を測定しましょう。
医療機関で測定した場合の高血圧の基準値は、収縮期(最高血圧)140mmHg以上、または拡張期(最低)血圧が90mmHg以上です。
家庭で測定する場合は、それより5mmHg低い値に設定されていて、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上が基準値になっています。
医療機関を受診する:血圧測定の結果、上の基準値に当てはまった人は、専門医に相談して下さい。医師には介護のために夜間何度も起きなければならないことをお伝えしましょう。
夜間の介護リズムを作る:夜間、不定期に突然起こされるのと、定期的に起きるのでは、後者のほうが血圧の急激な上昇が抑えられます。例えば、要介護者の生活リズムからトイレの時間を見極めて、おむつ交換を行う時間をできるだけ定期的にしたり、夜間の介護サービスを利用するなどの方法で、夜間の介護リズムを作りましょう。
食生活を改善する:「忙しい中でも簡単に作ることができ、手軽に食べられる献立を意識的に身につける」、「塩分の少ない調理の仕方を工夫する」、「野菜、海草、豆類などを充分にとる」などでバランスの良い食事をとりましょう。
介護をひとりで抱えこまない:周囲からの支援は、早め早めに積極的に受けてゆくことが大切です。例えば、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを上手に利用しましょう。
また、ケアマネジャーや訪問看護師などに相談するなど、第三者を加えてできるだけ介護する人の負担を軽くする工夫が必要です。
高血圧は、心や体の健康状態が悪化していることの危険信号です。要介護者と介護する人が 共倒れにならないためにも高血圧の危険因子を取り除きましょう。
お電話ありがとうございます、
伝馬町鍼灸院でございます。