前回のお話の中で高血圧について、日本高血圧学会では、日常生活の見直しについて6つのポイントを挙げていたよね。覚えてる?
「え~と。1番目は、食塩の制限でしょ。2番目は、野菜や果物、魚(魚脂)の積極的摂取、3番目は適正体重の維持、4番目は運動療法、5番目はアルコール制限、6番目は禁煙だったよね。」
えらいなぁ!よく覚えていたね。今回は、そのうちの1.塩分制限、2.野菜、果物、魚油の積極的摂取についてお話するね。
「よく高血圧には減塩、減塩!と耳にタコができるぐらい聞かされるんだけど、血圧と塩分とどんな関係があるの?」
私たちの体内の塩分濃度は常に一定に保たれてるんだ。これをまず覚えておいて。塩分(ナトリウム)を摂り過ぎると体内の塩分濃度が高くなるよね。それで、体は水分を補って体内の塩分濃度を一定に保とうとするんだよ。
水分が増えたから血管を流れる血液の量が多くなるんだ。そのため血液が血管の壁を押す圧力が強くなって、血圧が上がるんだよ。
「まるでホースにお水をたくさん流すとホースに圧力がかかり硬くなってくるような感じだね。ねぇ、減塩っていうけど、どのくらいが減らせばいいの?」
日本人は平均で1日11gの食塩を摂ってるけど、これは世界的に最も食塩摂取量の多い国の一つなんだよ。日本高血圧学会では、この値を1日あたり6g未満に抑えることを薦めているんだ。
「でも急に塩分を減らしても食事が味気なくて長続きしないんじゃない?」
そのとおりだね。それに高齢者や腎臓の働きが低下している人が急激に減塩すると「脱水症状」を起こして体調を崩すこともあるからね。まずは、1日1gを目標に徐々に塩分を減らすことが大切だよ。
「うちのお父さん、血圧の薬飲んでるくせに、濃い味付けのものや塩辛いものが好きだし、味噌汁はおかわりするわ、漬物はバリバリ食べるわ、しょう油やソースを料理にジャンジャンかけてるけど、大丈夫かなぁ?なにか塩分を減らすポイントってあるの?」
そうだね、君のお父さんは塩分をずいぶん摂り過ぎているみたいだね。塩分を減らすポイントは、まずできることからスタートだね。例えば、
1. 味覚は慣れるので少しずつ段階的に食塩量を減らしてゆく。
2. 味噌汁など汁物のおかわりをやめたり、汁を残す。また漬物の食べる回数を減らす。
3. しょう油やソースは料理にかけず、小皿にとって少しだけ付けて食べる。
4. ダシを濃く取ったり、唐辛子やコショウなどの香辛料、レモン汁などを上手に使う。
5. 干物、加工食品はなるべく控える。
「塩分を減らすポイントの他に、食事の工夫として何かあるの?」
塩分を減らすポイントの他に塩分を体内から排出する方法があるよ。それは、カリウムやマグネシウム、カルシウムなどを多く含む食品をとることだよ。これらは、体内からの塩分の排出を促進したり、血管を拡げて血圧を下げる働きがあり、これらの成分を多く含んでいる食品は“血圧を下げる天然の薬」とも言われているんだ。
「へぇ~!血圧を下げる天然の薬って、例えばどんな食品なの?」
教えて欲しい?
「教えて!」
じゃあ、教えてあげる。それは、以下のものだよ。
カリウムを多く含む食品の例:りんご、バナナ、トマト、ほうれん草、ジャガイモ、枝豆、サツマイモ、アボガドなど野菜や果物など。(カリウムはナトリウムの排泄を促す作用がある。ただし、腎臓病のある人は、カリウムを排出する働きが低下しているので医師に相談すること)
マグネシウムを多く含む食品の例:大豆、納豆、ごま、ひじきなど豆類や海藻類、落花生やカシューナッツなど。(マグネシウムは血管の収縮を抑えて血圧を下げる効果がある)
カルシウムを多く含む食品の例:牛乳などの乳製品や小松菜など。(カルシウムが減ると血管が収縮する)
「魚脂については、どうなの?」
魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪分があり、この2つの成分は、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らして血液をサラサラにして血圧をコントロールする働きがあるんだよ。
また、ストレスの抑制にも効果があるし、血栓ができるのを防いだり、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞の予防にも効果があるんだ。EPAを多く含む魚は、まいわし、さば、ぶり、あじ、さんまなど、DHAを多く含む魚は、ぶり、さば、あじ、さわらなどだよ。
「高血圧についての6つの生活習の見直しの残りのお話は?
それは次回のお楽しみにとっておこうよ。
今回はこれでおしまい。
お電話ありがとうございます、
伝馬町鍼灸院でございます。