当院の鍼灸施術について

当院の鍼灸施術について

このページでは、当院がどのような考えに基づいて鍼灸施術をしているか、施術の過程、鍼灸施術のやり方についてご説明します。

当院の鍼灸施術の考え

1.私たちの身体は、常に冷える方向に向かっている

私たちの身体の約60%は、水でできています。水は本来冷たいものですが、身体が温かいのは、私達自身で熱を作り出し全身に巡らせてているからです。この身体の熱を生命エネルギーといい、東洋医学では精気といいます(以下、精気という言葉を使います。)

 

身体の熱=生命エネルギー=精気

 

精気は、両親から受け継いだ先天の精と空気や飲食物を体に取り入れて作られる後天の精からできています。

 

先天の精のおかげで、飲食物を体に取り入れ、エネルギーを補充することができ、私たちは生き続けることができますが、やがては先天の気が尽きてしまう方向、すなわち死へ向かっています。

 

下の表をご覧ください。

平均余命の推移(男)

平均寿命の推移(女性)

これは、厚生労働省の第21回生命表についての中の、男女の平均余命の推移の図です。平均余命とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことです。

 

この図からもわかるように年齢を重ねるに従い、当たり前のことですが、生まれてから右上がりになることはありません。平均余命が短くなるということは、精気の力が落ちてやがて冷たくなる方向に向かっていることを意味しています。

2.病気などにより、本来の平均余命が短くなる

私たちは、生まれてから徐々に精気が減衰して身体が冷えて、死の方向に向かってゆく運命にあります。これは、私たち生物ならでは自然なことであり、誰もが避けられない事実でありこれを、「生理的な精気の虚」といいます。

 

「虚」とは「減る、なくなる、失う、足りない、不足、消耗」といった意味です。

 

私たちは、生まれつき代謝が低い体質を持って生まれる場合もありますが、日常生活習慣の乱れ、ストレス、食習慣、運動の過不足、環境、事故などにより、精気を通常よりも消耗させて生きています。

 

精気を消耗し続けると、やがて冷えは、慢性化、蓄積化して病気になり、本来の寿命より短く人生が終わってしまいます。これを、病的な精気の虚といいます。

 

下の図は、本来自然死する寿命が、病気により、短くなる図です。黒色の矢印の線は、生理的な精気の虚を現し、赤い矢印の線は、病的な精気の虚を示しています。

生理的な精気の虚と病的な精気の虚

3.当院の鍼灸施術の目的

当院の鍼灸施術では、病的な精気の虚に対して、少しでも生理的な精気の虚に近づけることを目的としています。これを、精気の虚を補うといいます。

 

「補う」とは、「不足を補充する、加える、満たす、付け加える」といった意味です。

 

下の図は、赤い矢印の線が病的な精気の虚に対して、鍼灸施術で生理的な精気の虚に近づけているものです。

病的な精気の虚を生理的な精気の虚に近づける

4.身体が冷えるから自律神経のバランスがが乱れるのか、自律神経のバランスが乱れるから身体が冷えるのか?

一般に、ストレスなどで自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、血液の巡りが滞るから冷えると言われますがはたしてそうでしょうか?

 

東洋医学では、私たちの身体の隅々まで、精気が巡ることによって健康を保つことができ、その精気の流れる通路を経絡といいます。

 

精気は目に見えませんが、以下の働きがあります。

 

推動作用:人の成長や発育、一切の生理敵活動及び新陳代謝する働き
温煦(おんく)作用:組織を温め、体温を保持する働き
防御作用:外からの侵入を防ぐ働き
固摂作用:体液が外に漏れ出ないようにする働き
気化作用:気が血や水に変化したり、水分を汗や尿として外に排出する働き

 

以上のように精気は経絡を伝って全身を温めていると考えられます。

 

私たちが生まれてから精気を作り出しながら生きてゆくわけですが、この精気は代謝によって作られます。

 

代謝とは、空気や飲食物を体に取り入れて、体にとって必要な物質に変換し、不必要な物質を体外に排除する一連の過程をいい、この時に精気が作られ、その精気を利用して再度代謝を繰り返すことによって生命を維持しています。

 

代謝は、全細胞で行なわれ、精気を産出する部位に多少はあるにしろ、全細胞で精気を作り出しています。

 

代謝が落ちると、精気の産出力が落ち、経絡に伝わる精気に偏りと停滞が起こります。これが、冷えの始まりです。この冷えが、自律神経のバランスを乱し、血液の流れに支障をきたし、さらに冷えは作られる、と考えられます。

 

ですから当院では、自律神経のバランスが乱れるから冷えるのではなく、まずは身体に冷えが生じるために自律神経のバランスが乱れる、と考えています。

5.ツボを温めると全身の自律神経が整う

身体が冷えると、自律神経のバランスが乱れ、さらに自律神経のバランスの乱れは、冷えを助長し、身体に痛みやコリなどさまざまな体調不良が表面化してきます。東洋医学では、冷えは万病の元と言われますが、この冷えは、身体に生じた冷えのことで、環境の冷えではありません。

 

身体に冷えが生じると、皮膚にたるみ、くぼみ、くすみなどのまわりの皮膚と違った所が現れます。そこが、ツボと呼ばれる所です。ツボは正式には、経穴といいます。経穴は、経絡上のくぼんだ所の意味で、ツボは経絡上にあります。

 

経絡は、内臓(臓腑、以下臓腑を使います)と体表面を結ぶ精気の流れる通路です。ツボは、臓腑の働きの低下による冷えが皮膚に現れた反応点でもあります。

 

ツボを温めると、その温熱刺激によって関連する臓腑に影響を与えることができます。施術中にお腹が鳴るのはこのためです。
関連する臓腑への影響は、関連する自律神経に影響を与え、自律神経の司令塔である脳へと刺激の情報が伝わり、さらに脳は、身体全身の自律神経に働きかけ、バランスを整えるように指示して、身体を正常な状態へと導くように働きます。

 

6・冷やさないことの重要性

私たちは、やがては冷たく動きのない状態になる運命にあり、避けられない事実です。ですから、常に冷えということに対して、敏感になることが健康、長生きの秘訣となります。

 

当院では、鍼灸でツボを温めることによって冷えに対してアプローチして健康の回復、維持、増進を図ります。

 

しかし、温めることも重要ですが、温めることよりも冷やさないことの方がもっと重要です。

 

身体は慣れを生じます。つまり、温めてばかりいると自分の内側から精気を作り出すことよりも外からの刺激に依存するからです。

 

ですから、鍼灸施術で身体を温めることは重要ですが、皆さんが日頃から、日常生活習慣、ストレス、食事、運動、環境に留意して冷えに敏感になり、日頃から養生することが最も重要です。

 

鍼灸施術で健康が回復する過程について

鍼灸施術を受けるにあたり、当院に来院された皆様は、なんらかの症状、不調、欲求を抱えています。その時期を不調期としてみなします。症状が急性、慢性、軽症、重症など個人差がございますが、皆様の健康状態を回復期、維持期、増進期という「3つの段階」に分けて、施術の回数や間隔の目安を考慮しています。

鍼灸施術で健康が回復する過程

回復期:現在の症状が軽減してゆく時期。週2~3回の施術。
維持期:症状が解消された時期だが、そのままにしているとまたもとの症状が現れてくる。週1回から2週間に1回の施術。
増進期:症状から解放され、自分のやりたいこと、できなかったことができるようになる、もしくは、やりたいことが見つかったり、夢、ゴールに向かって頑張れる時期。心と体のメンテナンス。月に1~2回、2か月に1回の施術。

 

長い年月、慢性化した不快な症状は、脳が「異常を正常」と記憶しています。そのため、1度は楽になったと感じても、脳は元の異常へと戻そうとします。
不快な症状になってからの来院の繰り返しでは、なかなか維持期、増進期に移行しません。そこで、初回~数回は短期間の集中施術を受けた方が良い場合があります。
また、症状が感じなくなった状態でも定期的に施術を受けると、症状がでないようになるだけではなく、できなかったことができるようになったり、やりたいことが見つかるようになります。

当院の鍼灸施術方法について

「冷え」はお腹に集約されます。

お腹を東洋医学の五蔵名称で5つの区分にわけたお腹

当院では、「冷え」はお腹に集約されるという考えから、お腹の異状を最重要視しています。

 

お腹は、体の中心でもあり自律神経の影響を受ける内臓が多く集まっている部分です。

 

東洋医学では、部分に全体を診る、全体に部分を診るという考え方があります。

 

お腹を全身の縮図として捉え、全身にある「冷え」もお腹の縮図として捉えることができると考えております。

 

お腹を押してみると、痛い所、固い所、違和感のある所、気持ちが悪い所などがあります。東洋医学では、これらのお腹の異状を「積聚(しゃくじゅ)」と言います。これらの異状を「冷え」の目印とします。

 

お腹を東洋医学の五蔵名称で5つの区分に分け、その目印を診断してゆきます。

お腹の5つの領域

どんな症状がどこの冷えの目印として現れるかは、個人差があり一概に言えませんが、当院では、以下のような症状が現れるのを確認しています。

心の領域

心の領域

心の領域には、以下の症状がみられます。

 

吐き気、腹部の膨満感、喉の違和感、肩甲骨の間の痛み、めまい、胃の具合が悪い、食欲不振、ガスがよく出る、肩のこり・痛み、首のこり・痛み、急性の腰痛、動悸、息切れ、肩の付け根の痛み、頭痛、過呼吸症候群、リウマチなど。

脾の領域

脾の領域

脾の領域には以下の症状がみられます。

頭重感、胃のもたれ、ガスがよく出る、不眠症、喉の痛み・つまり感、耳鳴り、手足の痺れ、蕁麻疹、腰痛、肩のこり・張り・痛み、背中の痛み・冷え感、冷え症、動悸、不妊、めまい、蓄膿、身体の疲労感、片頭痛、躁、鬱、寝ても疲れが取れない、顔のほてり、手が震える、不安感、手のこわばり、便秘と下痢を繰り返す、パニック障害など。

腎の領域

腎の領域

腎の領域には以下の症状がみられます。

 

不安神経症、ふあっとしためまい、卵巣嚢腫、子宮筋腫、便秘、膝の痛み、群発頭痛、片頭痛、朝起きると腰が痛い、咳が止まらない、頭の中で音がガンガンする、お腹の冷え感、目が見えにくい、便秘、下痛症、、鬱、勃起障害など。

肺の領域

肺の領域

肺の領域には以下の症状がみられます。

 

足裏の痺れ、下痢、めまい、睡眠障害、腰から下の冷え、背中の痛み、体がピクピク動く、息苦しい、首の痛み、血圧がやや高めなど。

肝の領域

肝の領域

肝の領域には、以下の症状がみられます。

 

朝方に早く目が覚め眠れない、肛門あたりの違和感、過敏性腸症候群、慢性腸炎、慢性腰痛、寒冷アレルギー、ふらつき、耳管開放症、、メニエール病など。

 

皆さんも仰向けに寝ていただき、足を伸ばした状態でお腹を軽く3本の手の指で押してみて下さい。おそらく5つの区分のどこかに痛み、コリ、違和感、気持ちが悪い部分があるかと思います。それが「冷え」の目印です。

お腹にある「冷え(積聚)」を背中にあるツボで解消します

背中を5行に分類した図

お腹にある「冷え(積聚)」の位置を決めた後、お客様はうつ伏せになっていただきます。

 

背中を五行に分け、「冷え(積聚)」に相関する位置の中にあるツボを使用してお腹の張りや痛みを軽減させます。

 

その後、再度患者様は仰向けになっていただき、目印となっている「冷え(積聚)」の張りや痛みの変化を確認します。

 

手足や頭のツボを使い、さらに「冷え(積聚)」を解消します。

お腹にある「冷え(積聚)」の目印を解消することで、症状が軽減されます。

お腹の痛みやこりを調べています。

皮膚は「内臓の鏡」と言われ、皮膚への刺激は、内臓に影響を与えることができます。これを生理学では体性内臓反射と言います。

 

皮膚にあるツボや経絡を鍼灸で刺激し、お腹の五蔵の区分に出ている、痛い所、固い所、気持ちが悪い所、違和感のある所を解消することで「冷え」が解消され、熱を作り出す働きを取り戻し、熱の巡りの停滞と偏りが改善され、自律神経が正常に働くため、上記のような症状が改善されると考えています。

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