こんにちは。豊橋市の伝馬町鍼灸院 院長の川添です。
この度、体温管理士の資格を取得しました。
体温管理士なんて聞いたことがない方がほとんどだと思います。
体温管理士とは、体温に関する専門知識を持ち、低体温のお客様を始めとして、体調不良を訴える方に対して、より良い健康状態を目指すための適切なアドバイスを行う体温に関しての専門家です。
体温管理士は、日本レホルム連盟が養成する通信講座で取得できる資格です。
「レホルム」とは、英語の「リフォーム」と同じ意味で日本語では「改善する」という意味です。
ドイツで1879年頃、産業革命以降に生活が激変したことを背景に健康市民運動である「レホルム運動」が起こったことを発端に「体質を改善してより健康になろう」というスローガンに基づいてヨーロッパをはじめ、世界中で市民生活に根付いていったものだそうです。
その流れをくんで日本では、昭和48年(1973年)にその運動を展開し始めたそうです。
日本レホルム連盟では、趣旨としては「体質を改善してより健康に」というものですが、「日常生活習慣」の改善を始め、「肉体」「精神」「社会性」「スピリチュアル」「経済性」をも本来の健康の状態へ「改善する」事を目的としています。
私が体温管理士の資格を取得しようと思った理由
私がなぜ、体温管理士の資格を取得しようと思ったのかお話します。
まず私が鍼灸業界に入ったきっかけは、製薬会社で営業職として勤務していた頃、ストレスにより心身的な病になり鍼灸、指圧を受けたことで、西洋医学の観方とは違う東洋医学に出会い、東洋医学について学びたいと思ったことです。
東洋医学の中でも特に「気」について関心を持ちました。
製薬会社を退職後、鍼灸専門学校を入学、3年かけて卒業後、「気」を臨床施術にいかそうと「気」に関連した手首の脈の診断で治療する経絡治療を始め、瞑想、手当療法(ヒーリング)、太極拳、カウンセリングなどを学んできました。
しかしながら、「気」という見えないものを誰もが分かるように数値化、視覚化することは難しいと常々感じてきました。
東洋医学では「冷えは万病の元」と言われるように、現在、当院では「冷え」を体調不良の根本的な原因として捉え、鍼と灸で自律神経の乱れを改善することをコンセプトとして東洋的な発想に基づく鍼灸施術を行っています。
自律神経失調症という西洋医学的観方による症状を東洋的な観方による鍼灸で改善しようとする施術です。
東洋医学では、「万物は気から成り立っている」「冷えは万病の元」という考えが根幹にあります。「気」も「冷え」も視覚化、数値化しにくいものです。
エビデンスに基づく科学で証明された事実を重んじる現代社会において、東洋的な発想に基づく鍼灸施術を社会に認知してもらうには難しい時代となりました。
そこで、当院は見えない「気」や「冷え」を体の熱と関連付けて、体温や触診によるお腹の冷え感・固さ・痛みや手足の冷え感の変化を重要視しています。
その中でも体温は、計測が可能です。
当院では、鍼灸施術の前後に体温を計測します。無差別の抽出した200人のお客様の初回の施術前の体温測定の結果、腋窩での平均体温の36.55~37.23℃以下の方が、57%(114名)でした。
男性、女性の構成比は4:6で女性の方が多いです。
施術後の体温は、平均0.23℃上昇しました。
今回のデータは、電子体温計で1回のみ測定していて、厳密ではないですが、鍼灸施術前後で体温の変化を測定することで、東洋的発送に基づく鍼灸も科学化できるのではないかと思い、体温についてこだわり持つために体温管理士の資格を取ろうと思ったしだいです。
当院が体温にこだわる理由
当院が、体温にこだわる理由として、東洋的な発想に基づく鍼灸施術が科学化できるほかに以下のものがあります。
1.体温は命のみることができる
体温は、呼吸、血圧、脈拍と同様にバイタルサインの一つです。バイタルサインとは「生きている状態という意味で日本語では「生命徴候」と訳されます。
体温は、それだけ生命に直結している重要な健康要素です。
普段私たちは、命に対して意識しません。体温を常に計測することは、それだけ自分の命について意識することにつながります。
2.体温は健康管理に重要な要素の一つである
日常生活で、風邪を引いた時以外にはほとんど体温を測定することはありません。
当院でも、「普段の体温は何度ですか?」と質問しても答えられる人はごくわずかです。
日本人約3000名について体温測定した結果では、平均36.38±0.34℃で、つまり日本人の平熱とは、36.55~36.72℃です。
当院の施術前の体温測定では、半数以上の方が36.5℃以下でした。
最近では、ストレスや日常生活リズムの乱れ、運動不足、食事の不摂生などにより低体温の方が増えています。
低体温状態が続くと、疲れが抜けない、だるい、やる気が出ない、鬱っぽいなど全身状態を始め、肩こり、頭痛、生理不順、肌荒れ、便秘、風邪を引きやすい、喘息、花粉症などのアレルギー疾患、メニエール病、胃潰瘍、パーキンソン病、癌、認知症まで、一旦健康を損ねると回復の難しい病気にかかりやすくなります。
日頃から自分の体温を計測することでこれらの病気を予防することもできます。
3.体温は自律神経のバランスの指標(目安)になる
体温を調節している中枢は、脳の間脳という所にある視床下部です。視床下部は自律神経の中枢でもあります。
自律神経は私たちが意識しなくても私たちの健康を維持する神経で、交感神経と副交感神経がありますが、交感神経、副交感神経のどちらが過剰に緊張したりすると体温に影響が及びます。
自律神経を測定するのは難しいですけれど、体温を測定することで自律神経のバランスを判断する指標(目安)になります。
4.体温は冷えの改善の指標(目安)になる
当院では、「冷え」を「冷たい」、「冷えている」という温度感覚的なものだけではなく、「本来の生命力が低下して体が熱を作り出す働き、熱を巡らせる働きを正常に保つことができなくなった状態」と定義しています.
日頃から、体温を測定することで体が熱を作り出す働きや巡らせる働きが正常であるか否かの指標(目安)になります。
5.体温は免疫力に大きな影響を与える
体温は、私たちの免疫力に大きな影響を与えます。
免疫とは、私たちの周りの環境から体に悪影響を及ぼす物質が体内に侵入してきた時に、それを感知して無毒化して健康を維持する働きです。
私たちは、細菌やウィルスに感染しなく健康を保つことができるのも免疫が働いてくれているおかげです。
体温が1℃下がると免疫力は30%も低くなると言われています。逆に体温が1℃上昇すると5倍から6倍も高まると言われております。
日頃から体温を測定することで私たちの免疫力をチェックすることができます。
6.「気」の状態の指標(目安)になる
東洋医学では、万物が「気」から成り立っていると言われています。私たちの体も「気」でできています。
「気」には、以下の働きがあります。
- 栄養作用:身体の各部を栄養する働き。
- 推動作用:臓器・組織の活動を促進したり、血脈や経絡の流れを推進する働き。
- 温煦(おんく)作用:体温の維持、臓器・組織を温めてその活動を促進する働き。
- 固摂(固摂)作用:気・血・水などの靭帯構成要素を必要以上に外に流出させない働き。
- 防衛作用:体表を保護して、外からの細菌やウィルスの侵入を防ぐ働き。
- 気化作用:栄養物などを代謝する働き。
「気」は目に見えませんが東洋医学では体を構成する基本要素です。このような「気」の働きは、目に見えず計測が不可能ですが、体温を測定することで「気」の働きの具合が推測しやすくなり、指標(目安)になります。。
お電話ありがとうございます、
伝馬町鍼灸院でございます。